次女の口が…
次女のクラスの劇が始まってしばらくして、私は異変に気付きました。振り付けはしっかりしているものの、次女の口はほとんど閉じたままなのです。年少の劇は、一役を複数人でおこなうため、次女がセリフを言えなくても問題なく進行していきますが、次女の声は一切聞こえません。
ニコニコと笑顔を浮かべ完璧な振り付けをおこない、最後の歌ではみんなと一緒に口を開けていたものの、結局最後まで次女の声が聞こえてくることはありませんでした。
1週間後の告白
「練習ではあんなにじょうずにできていたのにどうして?」という思いが拭えず、学芸会のあとに「何かあったの?」「具合が悪かったの?」と尋ねてみましたが、次女はちゃんと声を出していたの一点張り。
あまり聞くのもよくないかと思い、そのままにしていると、1週間後になって次女のほうから学芸会の話をし始めたのです。
「次女ちゃんね、ホントは緊張して声が出せなかったの……」
申し訳なさそうにそう話す次女を見て、私の頭の中にある光景がよみがえってきました。
「優勝確実」を失敗した過去
それは私が次女と同じ年少のころの、英語の詩の朗読発表会の記憶でした。練習ではいろいろな人に褒めてもらっていて「優勝確実」とまで言われていたのに、いざ舞台に立つと頭が真っ白になってしまい、小さな声の早口で詩を読み上げて逃げるように壇上をおりました。
「それだけじょうずなら絶対うまくいくよ!」
「練習でここまでできていたら、成功すること間違いなしだね!」
そんな言葉が重荷になることを私は知っていたのです。
褒め言葉がプレッシャーになる
私が知らず知らず何度も言ってしまっていた「じょうずだね」「次女ちゃんなら絶対うまくいくよ」などという言葉が、積もり積もって次女にプレッシャーをかけていたのだと気づき、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
声が出なかったことを正直に話してくれた次女に、「本番は緊張しちゃうよね。でも、踊りはすごいよかったよ!」と伝えると、次女はほっとして笑顔を見せてくれました。
普段物怖じしない次女なので緊張しないだろうと思っていましたが、よかれと思ってかけた褒め言葉がプレッシャーになってしまったようです。次女には「本番は緊張するし、練習通りできないのもしょうがない」ということを伝え、私自身も過度に期待するような言葉はかけないように気を付けています。
ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~6歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日なりますように!
監修/助産師REIKO
著者:岩崎はるか
2女1男の母。両実家とも遠方のためワンオペ育児中。先天異常の影響で肺が片方しかない医療的ケア児を含む3人の子を育てた育児体験談のほか、大学院で農学を学んだ経験から食についても執筆。