こんにちは!助産師のREIKOです。「生後6カ月まではママの免疫があるから、赤ちゃんは病気にならない」って聞いてたのに全然違った!という経験をお持ちのママもいらっしゃるのではないでしょうか?そのため、この生後6カ月までは……という説は都市伝説だった!なんていう話も。
果たしてこの「生後6カ月まではママの免疫があるから、赤ちゃんは病気にならない」というのは本当かウソか!?今回は、赤ちゃんの免疫についてお話ししたいと思います。
そもそも免疫ってなに?
そもそも「免疫」って何かご存知ですか?かんたんに言うと「風邪などの感染症やアレルギーから守ってくれる体の防御システム」のことです。そのとき、活躍するのが「抗体」という物質です。つまり、何かの病原菌が体の中に入ったきたときに、その病原菌に対する抗体が作られ、悪さをしないように戦ってくれます。そうすると、その病原菌に対する「免疫」ができます。
一度免疫ができると、その病気にならなかったり、症状が軽く済んだりします。また、実際に病気になっていなくても、ワクチン接種で抗体を作って免疫をつけることができます。これらの抗体は「免疫グロブリン」と呼ばれていて、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類に分けられています。
赤ちゃん自身の免疫とママからもらう免疫って?
おなかの中の赤ちゃんは無菌状態で生活しているので、自分の免疫システムを持っていません。生まれた赤ちゃんも、生後2カ月ごろまでは自分で免疫グロブリンを作ることができません。そんな状態の赤ちゃんが生まれてきたら、すぐ病原菌に狙われてしまいます。そこで、ママの免疫が赤ちゃんを守ってくれるんです。
ママから赤ちゃんに渡る「免疫グロブリン」はIgGとIgAの2種類。IgGは胎盤を通じて赤ちゃんに送られます。IgAは母乳、とくに初乳を飲ませることで赤ちゃんに届きます。そして、ママからもらったIgGは、生後3カ月ごろから減少して生後6カ月ごろまでになくなってしまいます。
おそらくこのことから、「生後6カ月まではママの免疫があるから、赤ちゃんは病気にならない」というふうに言われるのではないかと思います。
赤ちゃんが病気にかかってしまうのは……
ママからもらったIgGは生後6カ月まではあるし、おっぱいも飲ませているのに、じゃあ何で病気になるの?ということですが……。
最初に私がお話したことを覚えていらっしゃいますか?「何かの病原菌が体の中に入ったきたときに、その病原菌に対する抗体が作られ、悪さをしないように戦ってくれます。そうするとその病原菌に対する『免疫』ができます」。
つまり、ママがかかったことのない病気に対して、ママの抗体は作られていないので、ママのかかったことのない病原菌が赤ちゃんに侵入したら、赤ちゃんは病気になってしまうんです。また、IgAはママからもらえないうえに、赤ちゃんもまだ持っていない抗体なので、本来、IgAにやられてしまう病原菌にも赤ちゃんは感染してしまいます。
つまりは、ママから免疫をもらえる病気とそうでない病気があるということです。また一度できたらずっと体の中に残っている抗体とそうでないものがあります。風邪のウイルスに対してはそのときだけのものなので、赤ちゃんは何度も風邪をひいてしまうんですよ。
免疫の話は難しかったでしょうか?これで少しはママの疑問が解消できたらいいなと思っています。
著者:助産師 REIKO
医療短期大学専攻科卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。