仕事も順調で、家庭も穏やか。どちらも充実した幸せな日々を送っている、そう思っていた……。
「僕と帰ってこない妻」第127話
「俺が作ってあげるよ」
夕飯が作れていないときは、そう言って夕食も作ったし、皿洗いだってやった。ゴミ出しも、ご近所づきあいだって、ちゃんとやっていた。
仕事以外のことだって、やっていたつもりだ。
「結のこと、気にかけてくれてありがとう」
妻の言葉が頭に浮かぶ。娘のことも、一応気にかけてはいたし。
穏やかで、愛しい、幸せな時間……一生続けばいいと願っていたのに、家には家出を知らせた置き手紙が。ねぇ、どうして……?