現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。
ワンオペに耐え切れず、引っ越しを決意
私たち家族はもともと実家の隣接県に住んでいました。実家に帰るときは車で泊まりに行くという生活。日々感じる孤育ての現状に、できれば実家の近くに住み子育てのサポートをしてもらいたいという気持ちが強くなっていました。
仕事が多忙だった夫も、自分以外に私や息子が頼れる場所ができるなら……と、夫婦で話し合い引っ越しを決意。引っ越し当初は時間があれば孫との時間を作ってくれる実母に感謝をしていました。
現実は甘くなくて…
理想が現実となった生活に変化が訪れたのは、私の祖父母の介護が深刻化したころでした。私は母子家庭で育ち、母には夫がいません。介護は母がひとりで引き受けることに。
実母は仕事の合間、休みも介護に追われるようになり、近くに住んでいてもなかなか会えない日々が続きました。私も自分のワンオペがつらいということを理由に、実母を頼りすぎていたのかも……と思い、頼ることを控えるようになりました。
介護も孤育ても乗り越えるために
「実母には介護に専念してほしいから、甘えてはいけない」とはじめは考えていたのですが、なかなか会えない日々が続くなか、次第に、「逆に何か手伝えることはないか」と考えるようになりました。そして、「息子を連れて一緒に祖父母に会いに行けば喜んでもらえるのではないか?」と思ったのです。
母もその提案に賛同してくれて、息子を連れて会いに行くと祖父母も「ひ孫が会いに来た!」ととても喜んでくれる結果に。私も家族と一緒に子育てができることのありがたさを痛感するとともに、自分に余裕がなく受け身になっていたことに気が付きました。
特別なことは1つもなく、会えただけで双方が刺激をもらったという体験でした。その後、新型コロナの感染状況も踏まえてなかなか会えない日々が続きましたが、ひらがなを練習中の息子が手紙を書いたり、電話でおしゃべりをしたりと、家族との繋がりを工夫するように。それはこの体験がきっかけになっていると感じています。
監修/助産師 松田玲子
著者:伊藤 美里
3歳の男児の母。多忙な夫との3人家族で、ほぼワンオペ育児を楽しんでいる。料理と子どもが好きで、食に関する情報や自身の子育て経験を中心に執筆活動中。