義実家の華やぐ食卓に誘惑され…
私は結婚と同時に義実家で同居を始めました。嫁いできたこの家の主義は、「食卓には食べきれないほどたくさんおかずを並べるのが幸せ」という、ダイエットとは無縁のもの。義両親も夫も、ぽっちゃり体型です。
同居当初は一度の食事量に驚きましたが、義両親の作るおかずはどれも激ウマで、みるみるうちに私の肥満遺伝子は羽を伸ばし始めました。
私も含め、義父、義母、夫、皆一様に料理が好きで、全員が代わるがわるキッチンに立って逸品を振る舞うため、おのずと摂取カロリーは増えていくばかりなのです。
私がぽちゃると喜ぶ夫
とはいえ私は、常に肥満体型を叱られて育ったために、食べることに対して相当罪悪感を持っていました。ですから同居当初は、否応なく提供される大量の食事が重荷で、迷惑にすら感じたこともありました。
出される料理はどれも絶品なのにも関わらず、素直に喜べない自分にも嫌気がさしてきたころ、私が美味しそうに食べている姿を見て夫が喜んでいることに気付いたのです。
バクバク食べる私を、まるで孫を見る祖父のように穏やかな顔で眺める夫。そういえば、夫が好きな芸能人は皆ぽっちゃりさんだし、食後の私のおなかをさすって喜んでいる。義家族が全員ぽっちゃりなこともあり、「夫は私にもぽっちゃりになってほしいのかも」と思うようになりました。
食べたい、食べてほしい、答えはひとつ
幼少期からの「太っていることはみっともなくて恥ずかしいこと」という刷り込みは、洗脳のようなもので、私を縛りつける鎖でもありました。
今まで、常にダイエットを続けている状態でした。毎朝体重計に乗っては微々たる変動に落ち込んだり、極端な絶食をしたり、それが当たり前で皆やっていることだと信じこんでいたんです。
私がどんな体型でも、夫は愛してくれるはずという自信が、私の思いこみをぶち壊してくれました。「我慢せずに食べてしまえ!」と、体型への執着や罪悪感を振り払うように、私は食べ始めました。
およそ20年ぶりに食べたいものを思いっきり食べる生活は至高の経験で、心底幸せです。おいしくて、みんな笑っていて、夫に「かわいい、かわいい」と言ってもらえる。今のところ、これ以上の幸せはありません。
「幸せ太り」という言葉そのもののような私たち夫婦。おいしい、楽しいの相乗効果で、私を含め家族全員の料理の腕も上達し、私の体重はとめどなく増加中です。
食事の幸福感をまだまだ感じていたいので、せめて健康のためにと、万歩計アプリをダウンロードし少しずつウォーキングを始めた私たち夫婦なのでした。
著者/つちやです
作画/村澤綾香
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