マナーが合わない義実家での食事
義父母宅では、毎晩お酒を呑みながら食事をします。お酒が入ると文句や愚痴が多くなる義父、それぞれの食事のペースを無視して「あれ食べろこれ食べろ」が始まるうるさい義母に、お皿に顔を近づけて食べる義兄。大皿や刺身などに取り箸はなく、みんな直箸です。さらに、ゲップやクチャクチャというそしゃく音……。
私自身も育ちが良いとは言えませんし、楽しくごはんを食べるのが一番と思っています。しかし、あまりにも私の育った環境とは違うマナーの中での食事は、とても苦痛な時間でした。そのため早く終わってと願いつつ、毎回なんとかやり過ごしていました。
ケーキをどうぞ
ある年の会は義兄の誕生日会ということもあり、義母がケーキを用意するというのでお願いすることに。そして、いつものように義父母たちは呑みながらの誕生日会。食事を終えたところで義母が冷蔵庫からケーキを取り出しました。
子どもは幼児食を始めたばかりの段階で、まだ生クリームは本格的に与えたことがなかったので、ケーキの代わりに洋菓子を用意していました。それぞれ好きなケーキを選ばせてもらったのですが、子どものためにイチゴのケーキを選び、上に乗ったメインの大きなイチゴを子どもの口へ。そして残った部分を私も食べようと思ったそのとき、義母が耳を疑うことを言い出しました。
ほらここにもあるよ
私のケーキの断面を指をさし「ここにもイチゴあるよ」と。普段なら夫が買ってきているので罪悪感なく食べられますが、今回は義母が買ってきた物。そして相手が面倒な酔っぱらいということもあり、私のケーキなのにと思いながらも中からイチゴをほじって取り出し、子どもの口へ。
すると「まだ中にあるよ」とケーキを覗き込みながら言い出したので、「嫁じゃなく孫にあげたケーキなのよ」が義母の本心かと察し、中のイチゴを全部ほじくり出して子どもの口へと運びました。残った無惨なケーキは義母の言葉の意味を理解していない夫に押し付け、私はお礼を言ってから子どもを連れてその場をあとにしました。
私もケーキの1つごときで心が狭いなとも思います。しかし、なんとなく悲しくなってしまったのです。その後、夫に私の気持ちを伝えましたが理解できない様子でした。この出来事から、義父母とは根本的な価値観が違うことを改めて認識しました。それからは、義父母は相手の立場や気持ちが理解できない人たちなんだと考え、自分が嫌な思いをしないで済む適度な距離感を保つようにしています。
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著者:田中敦子
自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。