ベビーカレンダーは、多様化している家族のあり方=『新しい家族のカタチ』について発信する取り組みを開始しました。当事者のリアルな声を紹介していきます。多様な幸せを実現できる社会、そして、もっと「家族を持ちたい」「赤ちゃんを産みたい」と思う人が増える世の中づくりの一助となりますように。
今回は、ふたりぱぱ と息子くんが幼稚園のころのモーニングルーティンをご紹介します。現在は小学生の息子くんですが、幼稚園に通っていたころは着替えを渋るなど、本当に大変だった時期もあったそうです。動画には「理想の両親」「こんな家庭に生まれたかった」「日本にもこんな家庭が増えてほしい!」「なんか見てて涙が出てきた……幸せそう」とたくさんのコメントが。
さて、ふたりぱぱはいったいどんな風に息子くんに対応していたのでしょうか……!? そして、どんな家族なのでしょうか。
ふたりぱぱの出会い、そして息子くんの誕生
みっつんさんとリカさんの出会いは2008年。 東京で出会い、約半年間の友だち期間を経て交際をスタートしました。そして、2011年にスウェーデンの法律の下、結婚。
「自分がゲイなのに『親になる』なんて思いもしなかった」とみっつんさん。リカさんの妹さんご夫婦に赤ちゃんが生まれ、会いに行った帰りの飛行機で、
「ね、みっつんは、子ども欲しい?」
とリカさんから聞かれたことが、子どものことを考え始めるきっかけになったそうです。しかし、ゲイカップルが子どもを持つことは簡単ではありません。
「ゲイとして親になるって、なかなか想像つかなくって」
と、みっつんさんが女友だちに漏らしたところ、
「親になる自信なんて誰にもないわよ。私だってなかった。誰だって親になるというのは、はじめての経験なんだから。それはゲイもストレートも同じじゃない?」
と言われたそう。そしてその言葉に背中を押されたのだそうです。
ここからお2人は情報収集をして、さまざまな検討を積み重ねました。そして、*代理母出産(サロガシー)という方法を選択して代理母のもと、アメリカへ渡ります。
*2人が選択したのは、卵子提供者と代理母が別の女性であるジェスティショナル・サロガシーという方法。
お2人が出会った代理母・ステファニーさんは愛情深く、それでいてサプライズ好きのとてもキュートな女性でした。妊娠中、おなかの中で息子くんを守り育ててくれたステファニーさん。お2人が息子くんを連れてアメリカを発つ前夜、妊娠中のおなかの様子やエコー写真、息子くんへの手紙をまとめたアルバムを渡してくれました。
現在も息子くん含め、家族ぐるみで良好な関係を築いていて、昨年末にはアメリカまでステファニーさんに会いに行ったそうですよ。
息子くんには、自分がどういう経緯で生まれてきたのか、自然な会話の流れで伝えたそう。もちろん驚いてはいたものの、彼なりに受け入れたとのこと。今後も、息子くんの理解力・成長に合わせて繰り返し伝えていく予定だそうです。
ふたりぱぱと息子くん、朝のルーティーンは…
普段は自分の部屋のベッドで寝ている息子くんですが、夜中に「隣にパパたちがいない」と気付くと、パパたちのベッドへとやってきて一緒に寝ることもあるそうです。この日はそんな日でした。
リカさんが一番早起きで、その次にみっつんさん、息子くんの順で起きてくるそうです。朝一でみっつんさんがするのは、お湯を沸かすこと。そしてコーヒーを淹れます。コーヒーを淹れる間に白湯を飲むみっつんさん。そうこうしているうちに、息子くんがノリノリで起きてきました。
今日の朝ごはんは…
今日の朝ごはんは、パパたちはトーストにバターチーズをのせたもの、息子くんは「フィールミョルク(通称フィール)」と呼ばれる醗酵乳製品に、オーツ麦のシリアルを入れたもの。
ほかにも、オーツ麦のおかゆやスムージーを食べることもあるそうですよ。
ちなみにスウェーデンの幼稚園では朝食も用意してもらえるため、朝早く登園する日は、幼稚園で食べることもあるのだとか。とてもフレキシブルですね。
お着替えイヤイヤは万国共通!? お2人の対処法とは…
朝ごはんを食べたあとは、幼稚園の準備です。
1人が息子くんに服を着せている間に、もう1人が部屋の片づけや幼稚園へ送る準備を始めます。しかし、着替えを嫌がる息子くん。服を着せるのが本当に大変だそう……。
この日は、みっつんさんが着替えさせようとしましたが、息子くんは拒否してリカさんを求めました。そこでみっつんさんはリカさんと交代。リカさんが着替えさせている間に、みっつんさんは部屋を片付けたり植物に水やりをしたり、自分の準備をしたりします。
日本でも同じような光景が繰り広げられること、ありますよね。着替えが大変なのは万国共通なのかもしれません。
息子くんがイヤイヤしたとき、リカさんならではの無理に着替えさせない方法は、「創作した物語を話し始める」こと。息子くんが物語に夢中になっているうちに、着替えを終わらせてしまうそうですよ。
「リカパッパが本当に(着替えをさせるのが)上手なので、その間に僕は自分の支度をしています」とみっつんさん。
この日もリカさんはずっとお話をしつづけ、息子くんはお話を聞きながらスムーズに着替えを済ませたのでした。どちらが幼稚園に送るかは日によって違うそうですが、この日はみっつんさんが送っていきました。リカさんの、無理せず楽しく着替えさせる方法、ぜひまねしてみたいですね!
子どもを幼稚園に送りとどけ、それぞれ仕事や勉強をスタート!
そして無事息子くんを幼稚園に送り届けたあとは、それぞれ仕事や勉強の時間です。
「どちらが何をする」という役割を明確に分けているのではなく、その日の息子くんの様子や、2人のスケジュールにあわせて、お互いが助け合っている様子が伝わってきました。息子くんを含め、全員が尊重し合っているのでしょうね。自分も相手も無理をしないことで、家族の穏やかな時間が流れているように感じました。
ズバリ、ふたりぱぱの育児って大変?
最後に、ふたりぱぱの育児についてみっつんさんにお話を伺いました。
動画からお2人が息子くんを愛情いっぱいに育てていらっしゃることが伝わってきますが、子育てで大切にされていることは何でしょうか?
みっつんさん:親の役目は18歳までと思っているので、その旅立ちまでに「自信」「自尊」「自立」の3つができる人間になれるよう意識して声かけをしています。失敗をしてもいいから挑戦してほしいなと。挑戦した経験や成功体験などを通して自信を持ってもらえるように。また、僕らが彼の存在や意見をきちんと尊重することも大切だと考えています。そうすることで、彼自身が自分の存在や意見をきちんと尊重できるようになり、次はまわりの人間を尊重できるようになるのではないかと。そして家事や身の回りのことを自分でできるようになってほしいので、一緒に料理をしたり掃除をしたりしながら教えています。自分の意見を言えることも自立に必要なことだと思っているので、彼にも意見を求めるようにしています。子育てしていると、迷うことや困ってしまうことは多々あります。そんなときはここに立ち返るようにしています。
子どもが巣立つというゴールを意識して、子育てをされているのですね。では、同性カップルならではの子育ての悩みというのはあるのでしょうか?
みっつんさん:特にありません。おそらく異性カップルの子育ての悩みと同じではないかと思います。食事の好き嫌いをどうしよう、テレビやゲームは時間を決めたほうがいいのかな、本当はできることなのに甘えてやらないけど甘えさせたほうがいいのかな……? などではいつも悩んでいます。
息子くんの親であるお2人の悩みは、異性カップルが日々悩んでいることと同じですね。それでは最後に、これからどんな家族になっていきたいですか?
みっつんさん:毎日の生活の中で、朝は「おはよう」、夜は「おやすみ」、お出かけのときはハグをして「行ってきます」、食事のときは「いただきます」「ごちそうさま」が自然と出てくる家族。そして特別なときじゃなくても「愛してる」とお互いに伝え合える家族でありたいと思います。
◇ ◇ ◇
みっつんさん、ありがとうございました! 動画冒頭では寝起きの息子くんが「ぼく、あなた大好きだよ~」とベッドで両隣にいるパパたちにささやくとてもかわいらしい声が聞こえてきました。それから、リカさんがみっつんさんに、「朝イチでコーヒー淹れるきみでよかった」と言って後ろからハグする場面も。まさに特別なときでなくても「愛してる」「大好き」が自然と出てくるのでしょうね。
日本で出会って、スウェーデンで結婚し、そして代理母出産を選択して息子くんと3人家族になったふたりぱぱ。1人が子どものお世話をしている間に1人が家事など他のことをする……。父親・母親の役割分担などはなく、思うようにいかないときは自然に協力し合えるお2人の関係がとても素敵だなと思いました。動画には、「パパたちの言動1つひとつに愛を感じる」「こんな風に夫婦で協力して子育てしたい」「素敵な3人家族」「愛情があればどんな形でも家族になれるとわかった」と、温かいコメントがたくさん届いているようです。周囲の人に支えられながら、お2人で協力してさまざまなハードルを乗り越えられて今の幸せがあるのですね。これからもふたりぱぱの子育てや活動を応援しています!
YouTubeチャンネル「ふたりぱぱ FutariPapa」では、ご家族の日常風景・LGBT・性教育についてなど、さまざまな動画を投稿されています。こちらも合わせてチェックしてみてくださいね。