妻の「離婚」という決断は、もう覆すことができないかもしれない。それだけのことを自分がしてきてしまったし、愛想をつかされても仕方がないと思っていた。
だからこそ、夫は妻の決断がうれしくてうれしくて、たまらなかった。
娘と一緒に自宅へ戻ることを義父母に報告すると、義父が「和樹くん、ちょっといいか」と声をかけてきて……?
義父が後悔していることとは?
静まり返った部屋に二人きり。普段から寡黙な義父との会話は、どことなく気が張ってしまう。何の話だろう……? いろいろ考えを巡らせていると、義父が口を開いた。
「あの(地震の日の)朝、母さんに何も言わなかったんだ……」
家を出る前、いつものように「いってきます」と声をかけてくれた妻に対して、まともに返事もしなかった。
その日、地震が起こって、真っ黒な外の景色を見たとき、後悔した。
「ちゃんと返事をすればよかった」と……。
義父が夫に伝えたいこととは……?
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