すべてがスマートな彼との運命的な出会い
会社の同僚と一緒に参加した飲み会で出会った彼は、爽やかな見た目で仕事もできそうなスマートな雰囲気でした。礼儀正しいところが素敵で、共通の趣味があったことからすぐに意気投合しました。連絡先も交換できて素敵な出会いに大満足。どこにこんな素敵な人が隠れていたのか、なぜ彼女がいないのかと不思議に思ったほどです。
連絡先を交換してからは頻繁に彼から連絡があり、遊びに行ったり飲みに行ったりしていました。同世代で話も合い、なにより一緒にいてとても楽しく、こんな人とはもう出会えないと確信した私。何度めかのデートで、彼が告白してくれました。景色の良いレストランで食事をしながら、さらりと告白する彼のスマートさに改めて惚れ直したのを覚えています。
ママの言うことが絶対！ な彼に驚き
彼から素敵な告白をされた私は、夢見心地な気分で数ヶ月が過ぎました。毎週末は必ずデート。お互いひとり暮らしをしていたので、家を行き来するようにもなり、うっすらと結婚も見えてきました。
そんなとき、知らなかった彼の一面が出てくるようになったのです。事あるごとに母親と連絡を取っていて、頻繁に電話をしています。私と将来についての大切な話し合いをしていても、途中で母親から電話があればそちらを優先します。しまいには、私たち2人のことでなにか決めるときは必ず母親に電話し、アドバイスをもらう始末……。「（母親が）こう言ってたからこうしよう」と母親の意見を尊重し、私の意見には耳を傾けてくれません。彼の意見を聞いても、「母親の言うとおりにしたい」の一点張り。だんだんと彼のヤバさに気づき、不安になりました。
デートにはまさかの◯◯が…？！
それから数ヶ月後、彼とデートの約束をしていた私。待ち合わせ場所に行くと、なぜか彼の横に中年女性が立っています。不思議に思い「どちら様？」と彼に聞くと、まさかの母親だったのです。そして彼から「今日は3人でデートだから」と言われ仰天！ 事前に彼の母親が来るとは知らされていなかったのでパニックです。しかし、文句も言えず仕方なく食事に向かいました。そこでさらに驚くことが……。なんと彼は母親のことを「ママ」と呼び、母親も彼に対して「○○ちゃん」と呼んでいたのです。初めて見る彼の姿に、全身に鳥肌が立ちました。
そして、注文するものはすべてママに決めてもらう彼。2人とも食べたい料理はシェアをして、完全に2人の世界に入り、仲睦まじい姿を見せられている私は蚊帳の外です。彼の母親から何度か話しかけられましたが、「年齢は？」「学歴や職歴は？」「ご実家は何をしているの？」など品定めするような質問ばかり。プライベートなことまでズケズケと聞く遠慮のなさにうんざりした私は、こんな親子とは付き合いきれないと思い、食事もそこそこに逃げるようにして帰りました。
元カレのようなマザコン男は最初で最後でしたが、後から考えれば良い経験になりました。まず男性を見る目が養われましたし、人を見た目で判断しない方が良いということも学びました。男性自身だけでなく、その家族との相性もお付き合いする上で大切だと勉強になったのでした。
著者／星沢なな
作画／ちゃこ
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