「誰だって産後は大変」「マタニティブルーかもしれない」と思いながらも、それでも耐えきれないと感じる私は産後うつなのか?母親失格なのか?と悩みました。今回は、私が産後うつになったきっかけと、完全母乳ゆえの服薬治療についての実体験を紹介したいと思います。
大変だけど順調な産後、ところが体調不良に
出産後、初めての育児に戸惑いながらそれなりに順調な育児生活を送っていました。
ところが里帰りも終え、自宅に戻った途端に風邪を引き、38度の高熱が出ました。
治ったかと思った矢先、どこで拾ったのかウイルス性胃腸炎による嘔吐と下痢で、重度の脱水症状になり、深夜の病院へ駆け込み点滴をすることに。さらに、授乳がままならなかったのが原因か、胃腸炎がようやく治まったところに乳腺炎で高熱を出し、救急搬送……。思えばこれらが産後うつ発症のきっかけでした。
愛しくて仕方ないはずのわが子の泣き声に
体調不良にともない、なかなか治らない胃の不快感と寝不足による酩酊感。それらはこれまでの延長だと思っていたのです。
しかし、あるとき急に真冬だというのに大粒の汗が出て、呼吸も苦しくなり、手足は氷のように冷たくなりました。その「あるとき」とは、「赤ちゃんの泣き声を聞いたとき」でした。赤ちゃんの泣き声は遠くなり、自分は母親失格なのではないかと声を上げて泣いたり、思わず真冬の深夜にパジャマのまま飛び出したりしたことも覚えています。
完全母乳でも薬を飲んでもかまわない?
その後、自分の限界を感じた私は、とりあえず胃の不調を訴えにかかりつけ医へ。そのまま心療内科を紹介してもらいました。
私の場合は完全母乳だったということ、また、うつの状態もさほどひどくないということで、薬剤師とも相談して継続服用はせず、頓用での安定剤処方となりました。ただし、授乳直前から直後(つまり血中濃度が高いときに授乳をしないこと)を条件とするものでしたが、”安定剤を服用してもいい”という事実はじゅうぶんな安心材料になりました。
私が声をあげて泣いたとき、抱きしめていたわが子が同じように声を上げて泣くのです。「なんで泣くの!」と苦笑しながら顔を見ると、私の泣き顔を見て笑うのです。そんなわが子が、産後うつだった私のいちばんの励みになりました。(TEXT:半田あきら)
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。