その翌日、朝起きると、ひどい寒気に襲われてしまった加奈子。
(もう少し寝たら体調戻るかも……)そう思って再び目を閉じるのですが、しばらくすると、「いつまで寝てんだよ!」と夫が怒鳴り込んできたのです。
加奈子が体調が悪いことを伝えると、ブツブツと文句を言い始めた夫。「今日中に治せよな」そう捨て台詞を吐くと、勢いよくドアを閉めて部屋を出て行ったのでした……。
夫が去ると、妻は放心状態になって…
「お母さん大丈夫……?」
「大丈夫だよ……!
朝ごはん作れなくてごめんね」
加奈子が心配で、
様子を見に部屋に入ってきた息子。
さらに、加奈子の体調を気づかって、
「夕ご飯は僕が作ろうかな」と提案します。
「ありがと。でも日中寝てれば治るから
大丈夫だよ」
「それじゃ行ってきまーす」
息子が部屋を出て行くと、ふと我に返った加奈子。
(あの人からは、
"大丈夫?"のひと言もなかったな……)
思わず心の中で、モヤッとしてしまうのでした。
◇ ◇ ◇
加奈子の体調なんて気づかうことなく、自分の言いたいことだけガーッと言って、出て行った夫。しかし、息子は「大丈夫?」と、加奈子の心配をしてくれたほか、やさしい言葉をかけてくれました。どちらも同じ家族なのに、出てくる言葉がこうも違うなんて……。驚きを通り越して呆れてしまいますね。