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日常の中には危険はいっぱい!現役保育士が教える!乳幼児が誤飲・誤嚥を起こしやすい環境とは?

保育士の中田馨さんが、注意したい子どもの誤嚥や誤飲について教えてくれました。小さな子どもは口にモノを入れてしまうことがよくあります。事故に繋がらないためにも、パパやママなど大人が注意しておきたいことについて改めて確認しておきましょう!

誤飲イメージ

こんにちは!保育士の中田馨です。保育所を運営している中で、特に私の保育所のように低年齢児の乳幼児をお預かりしている場合、「口にモノを入れる」場面にはとても気を使っています。

今回は、誤飲・誤嚥をしないためにも、私たち大人が気をつけたいことをお話しします。

 

食べ物を誤嚥させないために(食べるときの子どもの発達、環境などを確認)

「誤嚥」とは、食べ物が空気の通り道(気道)に入ってしまうことを言います。

厚生労働省の統計によると、一口当たりの窒息事故の多い食品として一番頻度が高いのは「餅」です。お餅は乳幼児のお子さんが口にすることはほとんどないとは思いますが、次いでミニカップゼリー、飴類、パン、肉類、魚介類、果実類、米飯類などがあるようです。

どうでしょう?普段から口にする食品も多いのではないでしょうか?子どもが誤嚥を起こすのは、噛む・飲みこむなど、口の機能が大人に比べて未発達なこと、奥歯がなく食べ物を噛んですりつぶせないなども原因の一つです。また、慌てて次々口の中に入れて食べる、一口分の量が分かっていない、遊んで食べる、立ち歩いて食べる、眠りながら食べる、泣きながら食べる、なども原因になることがあります。

食べ物を誤嚥させないためにも、食事中は下記のことに気をつけ、与えるときには大人の配慮が必要です。

 

・ゆったりとした雰囲気の中食べさせる。

・大人が子どもの表情を見ることができる位置で見守る。(正面がベスト!)

・座って食べさせる。

・一口分の量を教えながら食べさせる。

・機嫌が悪いときや眠たいとき、あそび始めたら食べさせるのをやめ、落ち着いてから再度食べ始める。

 

 

食べ物を誤嚥させないために(食べ物の大きさや柔らかさを確認)

私が開催している離乳食教室で、1歳ごろのお子さんをお持ちのママに「うちの子、りんごを食べると必ずのどに引っかけるんです。なぜなんでしょう?」という質問を受けることがあります。どのような状態のりんごを与えているかを聞くと、1㎝くらいの角切りやスライスしたものを与えているのだとか。

離乳食では、確かに「1歳(離乳食完了期)ごろから食べ物の1㎝幅くらいが目安」なのですが、それはあくまで「歯茎で噛めるくらいの柔らかさの食べ物」なのです。りんごでいうと、離乳食期は「軟らかく煮て月齢の大きさに切る」か「すりおろす」を保育所では行っています。また、すりおろしても繊維がつながっていてそれがのどに引っ掛かることがありますので、目の細かいおろし金でする、食べさせる時に再確認するとより安心です。

また、ミニトマトやぶどうのように丸い食べ物は、そのまま与えるとつるんとのどに入ってしまいますので、保育所給食では提供を避けるように言われています。もしご家庭でミニトマトやぶどうなどの丸い食べ物を与える場合は、月齢の目安より小さく切る、加熱するなどするとよいでしょう。

また、パサパサして飲み込みづらい魚や肉、繊維の多い野菜などは、水溶き片栗粉でとろみをつけるなどして飲みこみやすさを助ける調理方法で対応してもよいでしょう。

 

参考資料:教育・保育施設等における事故防止及び 事故発生時の対応のためのガイドライン

 

子どもが誤飲しやすいもの(日用品)

「誤飲」とは、本来飲みこまないものを誤って口に入れてしまうことを言います。

特にハイハイなどができるようになった乳児に誤飲事故が多く、1歳児が次いで多いと言われています。

厚生労働省の調査によると、家庭内での誤飲事故の1位がたばこです。他にも、医薬品・医療部外品、食品類、玩具、プラスティック製品、金属製品、硬貨、洗剤類、文具類、電池となっています。

子どもは手に持ったものを口に入れて確かめます。ですので、お子さんが自分で動けるようになったときには、口に入れて困るものは子どもの手の届かないところに置くようにしましょう。よく「床に物を置かない」と言われますが、床だけではなく棚や机にも手をのばしますので、「子どもの成長発達を見据えて、早め早めに手の届かない場所に片づける」ことを意識して、部屋の環境を考えていきましょう。

もし誤飲したときは、飲みこんだものによって対応が異なりますので、中毒110番に電話をかける、緊急の場合は救急車を呼ぶなどしましょう。

 

子どもが誤飲しやすいもの(おもちゃ)

子どもの身近にある「おもちゃ」にも誤嚥の恐れがあるものがあります。乳児用に作られたおもちゃは、赤ちゃんが口に入れても安全な大きさで作られていますが、幼児さん用に作られたおもちゃの中にはそうではないものも多くあります。

お兄ちゃん、お姉ちゃんの使っているおもちゃと言えば、ブロック、積み木、磁石、ビー玉、おはじきなどがありますね。シールやクレヨン、粘土なども口に入れがちなものです。

私の保育所でヒヤリとしたおもちゃは、おままごとの半分に切れる食材。中には半分に切ったときに4㎝以下のものがありました。また、車やボールが左右に坂道を下っていくようなおもちゃ。ボールの大きさが4㎝以下でした。ですので、これらのおもちゃは保育室に置かないようにしています。

子どもは成長発達が一人ひとり違いますので、2歳ごろになっても口にものを入れる子もいます。その子の特性を把握しながら「これは、口に入れないで、こうして遊ぶんだよ」と伝え続けつつ、あそぶものを選びたいですね。

また、子どもの口は直径約4㎝。4㎝よりも小さいものは口の中に入り、誤飲の原因になることがあります。

もし子どもがものをのどに詰まらせたときには、背中を叩く(背部叩打法)や胸を圧迫する(胸部突き上げ法)などの対応をしましょう。どんな方法かを調べて一度ご覧になるのも良いと思います。

 

 

もし、「危ない」「ヒヤリ」としたもの(こと)があった場合は、「今回は何もなくてよかった」で済ますのではなく、家族みんなが「これは危ない」と知り、乳幼児の手が届かない場所に片づけるという習慣ができるとよいですね。

 

 

参考資料:厚生労働省 2018年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告

参考サイト:政府広報オンライン 「えっ?そんな小さいもので?」子供の窒息事故を防ぐ

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    この記事の著者
    著者プロファイル

    保育士中田馨
    一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長

    0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。『いっぺんに作る 赤ちゃんと大人のごはん』(誠文堂新光社)も発売中!

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