若いときは自分が好きな洋服=似合う洋服
学生時代からファッション雑誌を買ってはチェックするのが好きでした。仕事を始めてからは自由になるお金が増えたため、お給料の主な使い道は好きな洋服を買うこと。ヨーロッパの高級ブランドにはあまり興味がなく、アメリカンカジュアルが好きで自分にも似合っていたように思います。
友人とショッピングに行くと、「いつも似たようなスタイルの服を買っている」と指摘されていましたが、欲しいと思うのは好きなスタイルの洋服になってしまうもの。そして、好きなスタイルの洋服は試着するとほぼイメージ通りで、だいたい似合っていたのです。
好きな色はベージュ、カーキ、ネイビー。当然、購入する洋服は好きな色が多くなります。私のクローゼットの中は、いつも同じような色の洋服でいっぱい。どちらかというと目鼻立ちがはっきりした顔なので、派手に見えてしまうビビッドな色の洋服はほとんど着ませんでした。
30代はもちろん、40代の中ごろまでは、20代から愛用していた色やスタイルのファッションを継続していてもさほど違和感はなかったのですが、40代の後半から少しずつ変わってきたのです。
50歳を前にして違和感を覚えるように
アラフィフと呼ばれる40代後半になって、これまでと同じような感覚で選んだ洋服を試着してみると、なんとなく違和感を覚えるようになりました。「なんだかしっくりこない」という感じです。体形が変わったわけでもないし、ヘアスタイルやメイクを変えたわけでもありません。今までなら自分のイメージ通りに着こなせていた洋服が、試着室の鏡の前で「なんか違う」という結果になることが増えたのです。
色についても同じことが起こりました。ベージュやカーキを着たら地味な雰囲気になり、おしゃれというよりは老け込んだ感じに見えてしまう。ワードローブのほとんどを占めている大好きな色なのに、似合わなくなってしまったら着るものがなくなって大問題です。
だからといって、すぐに別の色の洋服に切り替えることはできませんでした。若いころからずっと同じような色味の洋服ばかりを着てきた私には「違う色を選ぶ」ということが難しく、他にどんな色が自分に似合うのかさえよくわからなかったのです。
他人から見た自分のイメージという気付き
ファッションで迷子になっているとき、仲の良い伯母とショッピングに出かける機会がありました。いつものように好きなスタイルの洋服を試着しようと選んだ私に、伯母は「こっちのほうが似合うんじゃない?」と言いながら、丈が長めの女性らしいラインが出るフレアのワンピースを見立ててくれました。
そのワンピースはベースの色こそネイビーでしたが、オレンジやグリーン、パープルといったビビッドな色の抽象的な柄が入った、自分では絶対に選ばないようなものでした。一瞬「えっ、これ?」と思いましたが、せっかく伯母が選んでくれたので断るのも悪いと思い、とりあえず試着してみることに。
試着してみてびっくり! 似合うのです! ネイビー単色だと暗く見えがちになっていたのが、ビビッドな柄が差し色のような感じになり、50歳に手が届きそうな私が着ると明るく元気に見える。また、それまで好きだったゆったりしたカジュアル系とは異なり、女性らしい印象のラインのワンピースは「大人の女性」という自分を演出してくれました。
「落ち着いているのに老け込んだ感じはしない」、50代はこんなイメージのファッションを目指したいと思いました。
まとめ
伯母とのショッピングの経験から、洋服を買いに行くとお店の人に私に似合いそうなものをおすすめしてもらうようになりました。すすめられた洋服をすべて鵜吞みにして購入するわけではありませんが、他人が考える私に似合いそうな色やスタイルを試着してみることで、新しい“気付き”ができて楽しいです。また、すすめられたアイテムから自分に似合う色の組み合わせも学ぶことができて、私のクローゼットの中には少しずつさまざまな色が増えてきています。
好きだった色やスタイルの洋服がなんとなく似合わなくなってきたように感じ始めたころはちょっと落ち込みましたが、今は自分の好みに固執するのではなく、年齢が上がった自分に合うスタイルや色を見つけておしゃれを楽しめば良いのだと思っています。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
イラスト/サトウユカ
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