彼はさわやかイケメンの人気者
A君とは大学のサークルで知り合いました。おしゃれでイケメン、野球部出身で礼儀正しいA君は、誰からも好かれる存在でした。性格は真面目でやさしく、中学・高校時代はいつもキャプテンや級長を務めていたそうです。そんなA君と付き合うことになった私は、天にも昇るような気持ちでした。
ところが、完璧に見えるA君には人には見せない一面があることを知ります。それがわかったのは付き合い始めてしばらく経ったころ。
ある日、A君の話す内容に同意ができず「私はそう思わないな」と言うと気まずい空気が流れました。普段はとてもやさしいA君の表情が曇り、目が泳ぎ始めます。私がその様子にびっくりしていると、A君は突然「もうダメだ!」と叫んでパイプベッドの下に潜り込んでしまったのです。
彼にはある一面が…
私は突然のことに驚き、ベッドの下を見てみると、うつろな目をしたA君が仰向けになっていました。慌てて「どうしたの!?」と声をかけたものの、返事はありません。A君はひたすらベッドの裏側を見つめています。私はしばらく呆然としていましたが、「私はここにいたほうがいい? 帰ったほうがいい?」と聞いてみました。
すると、「そこにいて。しばらくしたら元に戻るから」とA君が言います。その言葉どおり、15分ほどすると彼はベッドの下から出てきました。
コミュニケーションがとれない
A君が少し落ち着いたようなので、ベッドの下に入った理由を聞いてみました。すると、「君が僕の話を否定したから」と言います。どうやらA君は、彼女である私に自分の意見を受け入れてもらえなかったことがショックだったようです。
そして、普段から嫌なことがあると、ベッドの下に入ることを教えてくれました。A君はやさしくてステキな人ですが、意見が食い違うたびにベッドの下に入られては困ります。いくら彼女だからといって、A君の意見にすべて同意することも難しいです。恋人同士でも時にはぶつかりあうこともあるでしょう。しかし、気に食わないとベッドの下に潜ってしまう彼とは建設的な会話はできないと感じ、結局別れを決めることにしました。
どんなにイケメンで普段はやさしい人でも、自分の意見をまったく受け入れてくれない相手と付き合うことは難しいと私は感じてしまいました。恋人として一緒に過ごしていくなかで、意見のすれちがいもありますし、時にはケンカも必要だと思います。私は、その積み重ねで心を通わせていくものだと思っていたので、全肯定を求める彼とは向き合うことができませんでした。しかし、A君のおかげで恋人を選ぶ基準は見た目や学歴よりも「お互いに尊重し合えるかどうか」が重要だと学びました。
著者/海野なみ
作画/あさうえさい
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