こんにちは! 助産師のREIKOです。街中で見かける救急車。実は新生児用のものがあるってご存知ですか?今回は「動くNICU(新生児集中治療室)」とも呼ばれる新生児救急車について、私が働いていた病院を例にお話ししたいと思います。
病院独自の新生児救急車がある
妊娠中のママやおなかの中の赤ちゃんに何か問題が生じた場合、産院から設備の整った病院へママを搬送することがあります。しかし、ママを搬送する時間的な余裕がなかったり、生まれたばかりの赤ちゃんに何か問題が生じた場合、新生児搬送の依頼がNICUに入ります。
総合母子周産期センターなどNICUのある病院には、病院独自の新生児救急車を備えているところがあり、搬送依頼のあった病院へ赤ちゃんをお迎えに行くんですよ。
新生児救急車の中は?
みなさんが街中で見かける救急車と新生児救急車って何が違うんでしょうか? 小さな赤ちゃんを搬送するのだから意外とコンパクト?? いえいえ、その逆なんです。
新生児救急車の中には、赤ちゃんの処置をするラジアントウォーマー(開放型の保育器)、搬送用の保育器、ポータブルの保育器、人工呼吸器、酸素ボンベ、輸液用のポンプなどの機器類をはじめ、処置に必要な薬剤や物品など一式がそろっているんですよ。
そのため、新生児用の救急車は一般的な救急車に比べて大きく、マイクロバスを改造したものが多いんです。いろいろな機器があるので、マイクロバスとはいえ、車内はせまめ。上り坂でのスピードはちょっと遅めです。でも前を走っている救急車が遅いからといって追い越しはNGですよ。
新生児救急車の管轄は?
基本的に、各NICUが担当するエリアが決まっていて、担当エリア内の産院に出向くことがほとんどです。ですが、NICUが満床で、赤ちゃんが入院できない状況があると、担当エリア外のNICUに入院することになります。
そんなときは、まず担当エリアのNICUが赤ちゃんをお迎えに行き、高速道路のサービスエリアなど、それぞれの病院の中間地点まで担当エリア外のNICUが救急車で出向き、赤ちゃんを引き受けるということもあります。
そしてごくまれに、ドクターヘリで赤ちゃんを搬送するケースもありました。
思い出に残る新生児搬送は?
私も何回も新生児搬送の場面に立ち会ってきました。大変な場面も多々ありましたが、印象に残っているのは、三つ子ちゃんの搬送です。限られたせまい場所に、医師2名、看護師2名、そして3人の赤ちゃん。生まれたばかりの赤ちゃんを保温するため、車内の温度は高めに設定され、人口密度もMAXで汗だくになりながら処置をしました。
そのほかにも、搬送の依頼が重なって、出動するときは1人の赤ちゃんのお迎えの予定が、病院に戻るときには3人に……ということもありました。
時々、街中で見かける新生児救急車。今はよくわからなくなってしまいましたが、一般的な救急車と新生児救急車のサイレンの音って違うので聞き分けることもできていましたよ。すれ違うたびに、「頑張れー!」と心の中で言ってしまいます。赤ちゃんはもちろん、そこに関わっているスタッフにも向けて……。