パートで働き始めたことで、やりがいを感じるようになったなな子でしたが、次第に家にいるときと職場にいるときの差を感じ始め、悩むようになっていきました。
そんなある日、パート先の店長の妻の家を訪ねることになったなな子。家に上がらせてもらうと、あまりにもオシャレな空間に驚いてしまいます。次第にそのママと自分の生活を比べ始めると、なな子の心は虚しくなってしまいます。
その翌日、パートの休憩中にお昼ご飯を食べていると、店長が入ってきました。なな子が見ていたテレビの野球から会話が盛り上がると、いい感じの雰囲気になって……!?
「うまそー」店長の言葉に妻は思わず…
「おっ、たくあんいい音。うまそー」
「よく漬けるんです」
「えっ、自分で漬けたの!?
売ってるやつみたい」
「よ……良かったら召し上がってください」
なな子がたくあんを差し出すと、
うれしそうに食べ始める店長。
「すっげーおいしい!!
売ってるやつよりおいしいよ!!」
「よ、よかったらもっとどうぞ……」
「いいの!?やったー!!うめぇー」
店長の反応になな子の心がときめき始めます。
(こんなに喜んで食べてもらえたの、
何年ぶりだろう……)
すると、そのタイミングでテレビから、
「満塁ホームラン」という声が聞こえてきたのです。
「少年マンガみたいな展開だね」
(私にとっては少女マンガみたいだ……)
店長の言葉に心の中で反応するなな子。
(私、この人が好き――)
次第に店長を好きになっていることを
自覚し始めます。
そして、いよいよスーパーが明日オープンすることに。
(私の居場所はここなんだ)
なな子は心の中で、そうつぶやいたのでした。
このとき店長がたくあんを「おいしい」と褒めてくれたのは、なな子にとってよほどうれしかったのだと思います。ただ、お互い既婚者同士ということもあり、店長にも奥さんがいるわけですから、好きになってはいけない相手ですよね。ドキドキしたり、ときめく心の動きは止められないと思いますが、これ以上感情を高ぶらせてしまうと後々面倒なことになってしまいそうな気がしてしまいました。