やっと授かったのに…
結婚後しばらくして不妊症だとわかった私は、不妊治療を始めて2年でやっと子どもを授かることができました。
妊娠の報告をしに夫の父方の祖父に会いにいくと、祖父は喜びつつ「男の子だといいなあ」と言葉をこぼします。夫の家には「長男が家を継ぐ」という昔ながらの考え方があると聞いており、夫はその跡取りの立場である長男だったため、男の子を望まれることに納得はしていました。しかし、私はそのあとに続く発言にひどく驚きます。
夫の妹も私と同時期に妊娠していたのですが、なんと夫の祖父は「もしお前さんの子が女の子で、妹のところが男の子だったら取り替えてもらえ」と言ったのです。私はデリカシーのないその発言に思わず言葉を失ってしまい、やっとの思いで授かった子どもを、なんだか家を存続させるための道具のように扱われた気がして、泣きそうになってしまいました。
すると夫の祖母が「なんてこと言うの! そんなこと言ったらだめでしょう!」と祖父を怒ってくれたのです。夫の祖父母に不妊症のことは言ってなかったのですが、思い返せばなかなか子どもを授かれず悩んでいたときに、祖父が「子どもはまだか」と言うのに対して、祖母は「今どきそんなことを言うのはおかしい」とずっとたしなめてくれていました。
本家の長男と結婚することの大変さを知ったと共に、夫の祖母のやさしさを感じた出来事です。
◇ ◇ ◇
「子どもを取り替えてもらえ」なんて、絶対に言ってはいけない言葉ですよね。
「長男が家を継ぐべき」という昔ながらの考え方が残る家の中で、祖父の発言が人を傷つけるものだと理解し、すかさず怒ってくれた祖母の存在はとてもありがたいもの。
このあと、ママが傷つくことなく義実家と関われていることを願うばかりです。
作画/さくら
著者:江藤 かなこ
6歳・7歳の姉弟を育てる専業主婦。結婚10年目。夫は本家の長男。