これまで妻として、母としての悩みに答えてくれた東尾理子さん。第三回目の最後は『妊活・妊娠中』の悩みにフィーチャー。2年の不妊治療を経て出産し、現在は妊娠・出産に関する支援活動もしている理子さんにアドバイスをもらいました。
妊活を公開して同じ悩みを抱える女性の多さを実感。妊娠して出産するのが「当たり前」ではないことを伝えたい
Q・妊活を公開した理由は? 公開したメリット、デメリットはありましたか?(質問者:みそさん、樹生ママさん)
A・自分の中に妊活を隠すという概念がなかったんです。公開したことでたくさんのアドバイスをもらえたり、応援してもらったり。公開してから街中で「実は私も、僕も」と声をかけてもらうことが増えて「世の中には話したいけれど、言えない人が多くいるんだな」と思いました。もちろん、妊活は人と比べるものじゃないし、周囲の声に傷つく場合もあるだろうし……。ただ私の場合は人の意見を聞いたり、知らない知識を得る機会になりました。メリットはあってもデメリットはなかったですね。
Q・出生前診断を公表して、世間の反応で感じたこと、傷ついたことはありますか?(質問者:れもんちゃん)
A・これも妊活と同じで、発表してから初めて「これって言わないことなんだ!?」って気付いた感じです(笑)。バッシングも受けましたが、そうやって話題になることはとても大切だと思います。私が発表したことで、初めてクアトロテストの存在を知った人もいたようで。世の中、結婚したら妊娠するのが当たり前で、五体満足で生まれて来るのが普通だと思っている人がまだまだ多いけれど、実際の流産率や男性にも無精子症という不妊症の方がいることなど、知られていないことだらけ。そういう隠されがちなことを今後、伝えていきたいと思っています。
妊活は努力しても成果がついてこない理不尽なもの。頑張っている自分を認めて、褒めてあげてください
Q・妊活中、ツラかったことや大変だったことはなんですか?(質問者:Nayu&Naonママさん、佐藤美乃里さん)
A・全部です(笑)。金銭的に大変だという方もいれば、お金で解決できないからツライという方もいる。義理の両親との関係や人間関係に悩む人もいるし……。人それぞれタイプが違うから何が大変とは一概に言えませんが、私は努力しても結果がついてこない理不尽さがツラかったですね。でも「もう無理かも」とは思わなかったんです。ダメなときは金銭面・体力面・精神面のどれかで終わりが来るだろうなと思っていたので、その前に授かれたことはとても幸せだったと思います。
Q・妊活がうまくいかず落ち込んでいます。一番効果があったのは何ですか?(質問者:Wさん、いっくんママさん)
A・子どもを授かるために、体にいいとされることを色々やったりしますよね。それを妊娠のためだと思うんじゃなくて、自分のためだと思うんです。私も韓国に行ったらヨモギ蒸しをしてみたり、ヨガをホットヨガに変えてみたりしました。やってることは絶対自分のプラスになると思って色々試しましたね。「妊活中にやってよかったことはコレ」って言えたらいいんですが、どれだかわからない。人からいいよって言われたことは全部取り入れました。鍼灸も試したり、サプリも飲んだり。でもサプリが合わなくて吐いてしまったことも……。合う合わないは絶対あるから、色々試して自分が合うなと感じるものを取り入れるのがいいと思います。
Q・妊活に疲れちゃいました……。モチベーションを上げるには、どうしたらいいでしょうか?(質問者:空さん、たなかさん)
A・少し休憩してみては? 私もうまくいかないとき「今月は休む!」と決めて、なーんにもしなかった時期がありました。たとえ移植や採卵のタイミングが来たとしてもやらないって決めて、旅行に行ったりしましたね。落ち込むときはドカンっと落ち込むことも大事だと思うんです。時間が解決してくれることもあるから。自分の気持ちを跳ね返してしまったら、その気持ちの行き場はなくなって取り残されちゃうと思いますし。だから自分にウソはつかないで、「疲れた」という正直な気持ちも大切にしてあげてほしい。だってみんな十分に頑張っていらっしゃいます!! 頑張っている自分を認めて、褒めてあげてください。
人と比べたところで、自分の価値は上がるわけでも下がるわけでもないから、ブレないことが大切と話してくれた理子さん。「やっていることは絶対に無駄にはならない」という言葉にパワーをもらったインタビューでした。
PROFILE:東尾理子さん
プロゴルファー、ゴルフ中継の解説やレポーターとして活躍。2009年に俳優の石田純一氏と入籍。その後 TGP(Trying to Get Pregnant-妊娠しようと頑張っている、の略)を提唱し、多くの女性から支持を得る。仕事と子育てをしながら、妊娠を望む人たちの助けになりたいと NPO 法人 FINEのピア・カウンセラーの資格を取得したほか、妊娠や出産についての正しい知識を伝える活動「うむうむプロジェクト」の立ち上げに関わる。2012 年に長男、2016 年に長女を出産し、先日、第三子妊娠を発表したばかり。
Photo/Chishaki Shin (willcreative)
Hair & Make/Mao
Interview & Text/Satoko Nemoto