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赤ちゃんはどうなる!?ドラマ『コウノドリ』第5話を振り返る【前編】

こんにちは! 助産師のREIKOです。TBS系金曜ドラマ『コウノドリ』も第5話となりました。第5話でははNICUに入院している赤ちゃんとそのご家族、そして切迫早産で入院した2人の妊婦さんのお話しでしたね。今回は、NICUに入院している赤ちゃんとそのご家族に焦点を当ててお話ししたいと思います。

 

こんにちは! 助産師のREIKOです。TBS系金曜ドラマ『コウノドリ』も第5話となりました。第5話ではNICUに入院している赤ちゃんとそのご家族、そして切迫早産で入院した2人の妊婦さんのお話でしたね。今回は、NICUに入院している赤ちゃんとそのご家族に焦点を当ててお話ししたいと思います。

 

今回お話しするのは、NICUでのお話。24週で生まれた翔太くんは、保育器に入り、人工呼吸器を装着し、動脈管開存症の治療をおこなっています。しかし、治療の効果は芳しくなく、手術が必要な状態です。そんな翔太くんのご両親は……。

 

「動脈管開存症」ってどんな病気?

おなかの中の赤ちゃんの血液のルートは大人と違っています。このとき、重要な役割を果たしているのが「動脈管」です。動脈管は、赤ちゃんが生まれると閉じるようになっているのですが、動脈管がなかなか閉じない赤ちゃんもいます。

 

翔太くんのように生まれたときの体重が1,000g未満の超出生体重児の場合、動脈管開存症の割合が高くなります。自然に閉じることもありますが、治療が必要な動脈管開存症は30~40%にもなるというデータもあります。

 

実際に私がNICUで働いていたときにも、動脈管開存症の赤ちゃんはたくさんいました。そのなかで、動脈管開存症が赤ちゃんの状態に悪影響を及ぼす可能性がある、あるいはすでに及ぼしている場合、治療がおこなわれていました。まずはお薬を投与する方法を選択し、お薬の副作用が強かったり、お薬の効果がみられない場合、手術となります。ですが、手術が必要となったケースは、あまりありませんでした。

 

「障害が残る可能性が高いなら……」

大森南朋さん演じる今橋先生は、翔太くんのご両親に手術の必要性について説明をしますが、矢島弘一さん演じる、翔太くんの父、大松氏は「どっちにしろ障害が残る可能性が高いってことですよね。正直手術をしてまで助けてほしいって思えません」といって、翔太くんのお母さんとともにNICUを出て行ってしまいます。

 

実際の現場でも、治療をすれば助かる可能性の高い赤ちゃんに対して、「生まれなかったことにしてほしい」「治療をやめてほしい」「このまま……」と、翔太くんのご両親のように赤ちゃんの障害が残る可能性が高いなら……とおっしゃるご両親も少なくありません。

 

自分で意思決定することのできない新生児の治療方針について、誰に決定権があるのか?医師とご家族との意見が違った場合、優先されるのはどちらの意見か?など、倫理的な側面からさまざまな研究がなされ、日本新生児生育医学会では「重篤な疾患を持つ新生児の家族と医療スタッフの話し合いのガイドライン」も作成しています。そして、そのガイドラインには、「治療方針の決定は、『こどもの最善の利益』に基づくものでなければならない」とあります。 

 

医療者は病気を治せてもベビーを育てるわけではない

ドラマでもその後、産婦人科と新生児科でおこなわれる周産期カンファレンスで、翔太くんのことが話題になります。そこで松岡茉優さん演じる下屋先生、綾野 剛さん演じるサクラ、坂口健太郎さん演じる白川先生、星野 源さん演じる四宮先生たちが意見をかわします。

 

それを見ていた今橋先生は「我々医療者は病気を治せてもベビーを育てるわけではないからね。今の治療を続けながら親御さんの気持ちにも寄り添ってそのうえで手術の同意を得られるよう話し合いを続けていくべきじゃないかな。翔太くんから親御さんを奪わないためにも」といいます。NICUにいる赤ちゃんに限らず、赤ちゃんがおうちに帰れる状態であっても赤ちゃんを受け入れる側の体制が整っていなければ、赤ちゃんを帰すことはできません。今橋先生は、今ある治療に関する問題だけでなく、その後の翔太くんやご家族のことも考え、目の前の治療にしか目がいっていない白川先生に対して、このことを言ったのではないかと思います。

 

最終的に、翔太くんのママが翔太くんの手術の話を聞きに来るというところで、このエピソードは終わっています。24週で生まれた赤ちゃんであれば、このあとも乗り越えなければならないハードルがいくつもあります。スムーズに乗り越えられることもあるし、行ったり来たりすることもあるでしょう。でも、1日も早く翔太くんとご両親がNICUを卒業できる日がくるといいなぁって思いました。そして、翔太くんの成長とともに白川先生も医師として成長していくんだろうなとも思いました。

 


【後編】では、切迫早産とIUFD(子宮内胎児死亡)のエピソードについて振り返りたいと思います。

振り返り【後編】を読む


著者:助産師 REIKO

医療短期大学専攻科卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

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