2018年の確定申告期間を過ぎて時間が少し経ちましたが、まだ確定申告をしていない人、忘れてしまったという人もいると思います。
確定申告をしなくても何かあれば税務署から連絡があるからそれまで待とうと考える人もいらっしゃると思いますが、早めに申告しないといけない人、時間のあるときに申告すればいい人、それぞれの状況をお伝えします。
1.所得税の確定申告は原則、自分自身で申告することが前提
税金にはいくつかの種類・区分がありますが、税金の決まり方に注目すると、納税する本人が所得や納税額を計算して申告する申告納税方式と、国や都道府県・市区町村が納税額を決定して通知する賦課(ふか)課税方式に分かれます。
所得税は自分自身で申告する前提の申告納税方式ですので、納める税金がある場合でも還付される税金がある場合でも、ご自身が申告する必要があります。よほど悪質でない限り、所得税について税務署が納税額を一方的に決定することはなく、確定申告や修正申告をご自身ですることを催促されます。
そのため、確定申告期間が少し過ぎたころに確定申告の提出をしていない程度では、税務署から連絡が来ることはほとんどありませんので、ご自身の状況に応じて、期限を過ぎても確定申告を自分自身でする必要があります。
2.早めに申告をしないといけないのは、納税する必要がある人
個人事業主(自営業者)でかつ確定申告をしていない人で納税額のある人は早めに手続きを取る必要がありますが、年末調整をしている会社員等(給与所得者)でも、以下に当てはまる場合は確定申告をして、納税をしないといけない可能性があります。判断のできない場合には最寄りの税務署や税理士に確認をするようにしましょう。
年末調整をしている会社員等が確定申告をして納税をしないといけない主なケースは以下の通りです。
① 給与以外の副職・副収入・年金等の所得が年間20万円以上ある場合
② 不動産や株式等有価証券の売却がある場合
③ 年末調整で提出した配偶者の所得が実際より低い場合(配偶者控除・配偶者特別控除の修正)
④ 年末調整で提出した扶養家族に年間38万円以上の所得があった場合
⑤ 保険の満期金、懸賞・賞金等(宝くじの当選金は除く)の一時所得が50万円以上ある場合
上記の例以外でも、所得がある場合や控除が減る場合は、納税の可能性があるので、最寄りの税務署や税理士に確認をしましょう。
申告期限後の確定申告は本来の所得税と合わせて無申告加算税が課され、本来の所得税額に応じて15%または20%が加算されますが、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%となります。そのためにも、納税を要する人が確定申告を忘れている場合は早めの手続きをおすすめします。
3.還付の場合は5年以内に確定申告を
会社員等(給与所得者)は多くの場合、医療費控除や住宅ローン控除、ふるさと納税等の寄付金控除を追加して還付申告をするケースが多いと思いますが、その場合の申告期限は、該当年の翌年1月1日から5年間となります。直近の2017年(平成29年)の還付申告をする場合の期限は、2022年12月末となります。
そのため、準備ができて余裕のある時期に手続きができます。還付申告が遅くなれば、所得税の還付される時期も遅くなりますが、あわてて還付金を受け取らなくてもいい場合は、時間のあるときにお手続きをすればいい、ということも覚えておいてください。
なかには複数年まとめて申告する人もいますが、年数が経ちすぎて、還付申告そのものを忘れてしまったということがないようにご注意ください。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。