突然の曽祖父の死
私の祖父であり、息子にとっての曽祖父が95歳で亡くなりました。大往生ではあったのですが、突然亡くなってしまったこともあり、父や母、私も急な葬儀の準備に追われていました。葬儀は親戚のみで執りおこなわれ、息子や同い年くらいのいとこたちも参列したのですが……。
ここはパーティ会場か!?
息子を含め、まだ死というものがなんだかわからない親戚の子どもたち。久しぶりにいとこが全員揃ったうれしさからか、いつも以上にハイテンションでした。そして、なんとそのテンションのまま、葬儀場内を走り回り出したのです。
慌てて止めに入りましたが中々言うことを聞かず、私は冷や汗をかきながら子どもたちを制するのに必死でした。必死すぎて、祖父の死を悲しむ間もないほどでした。
息子の一言
荒ぶる息子たちをなだめながらもなんとか式は無事に進行していき、最後に棺に花を手向けることになりました。終始騒いでいた息子でしたが、大人たちが花を棺に入れているのを見ると騒ぐのをやめ、静かに棺に花を入れていました。
最後の花が手向けられ、棺の蓋が閉められようとしたとき「どうして閉めちゃうの?」「おおじぃじはもう起きないの?」と言う息子。「……もう起きないよ」と私が答えると、黙り込んでしまいました。そして棺の蓋が閉められたとき、また息子がポツリと呟いたのでした。「起きたらいいのにねぇ」と。
息子の言葉を聞いた途端、なぜか元気だったころの祖父の姿や一緒に遊んでくれた思い出がドッと甦ってきました。目頭が熱くなり、私は祖父が亡くなってから初めて涙を流すことができたのです。慌ただしいお葬式でしたが、無垢な息子の一言のおかげで、私は祖父の死をきちんと悼むことができたのでした。
著者:木下うめ子/30代女性/2018年生まれの双子ママ。自閉症の双子のサポートに日々奮闘中。管理栄養士の資格を持っており、食べることが大好き。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年9月)