「夫婦カウンセリング」とは
夫婦カウンセリングは、基本的に夫婦の関係修復を目的としており、夫婦が抱えているさまざまな問題の解決を目指します。具体的には、不倫やモラルハラスメント、DV、セックスレス、産後クライシスのほか、コミュニケーション不和や価値観の相違、夫婦喧嘩、不仲など、些細な問題も取り扱っています。
夫婦カウンセラーは大概、認定試験を受けることで資格を取得しています。心理的なカウンセリングのノウハウはもちろん、夫婦問題における法律の知識も学んでいるため、夫婦の関係修復に向けた精神面のフォローだけでなく、離婚を目指す方には社会的なサポートも可能です。
たいがいの夫婦カウンセラーは離婚カウンセラーと兼任されているケースが多く、離婚問題も扱うことがほとんどです。離婚カウンセリングでは「どうしたらよりよい人生の選択ができるか」「具体的にどのような行動を起こしたらいいか」など、離婚に悩んでいる方に対して、アドバイスをおこないます。
ただし、非弁行為(弁護士資格を有している者しかおこなってはいけない行為を、弁護士資格がない者がおこなうこと)を避けるため、相談者の代理人として調停や訴訟の手続きをおこなったり、慰謝料や財産分与のアドバイスをしたりなど、法律に抵触する助言をおこなうことはできません。
カウンセリング内容は?
「すまいる相談室」を例に、カウンセリングの内容や流れをご説明します。
まず、パートナーと一緒に受ける【夫婦カウンセリング】と、ひとりで受けられる【個人カウンセリング】の2パターンがあります。1回目のみ個人カウンセリングを受け、2回目以降は夫婦カウンセリングに移行することも可能です。
また、カウンセリングの形式は【対面】【電話】【オンライン】から選ぶことができます。基本的に、遠方にお住まいの方は、電話やオンラインでカウンセリングを受けられることがほとんどです。
夫婦関係の修復を目指している方は、パートナーと一緒にカウンセリングを受けることをおすすめします。反対に、もしパートナーとの離婚を考えているのであれば、一緒にカウンセリングを受けるのは気まずいでしょうし、ひとりでカウンセリングを受けるのがおすすめです。
次にカウンセリングの流れですが、離婚相談の場合と夫婦関係の修復の場合でゴールが異なり、それぞれのゴールに沿ってカウンセリングを進めていきます。いずれにしても、最初にカウンセリングシート(プロフィールや相談内容など)を記入し、その内容をもとにカウンセリングを開始します。
離婚相談の場合は「よりよい未来を選択するためにどのような行動を取るべきか」をポイントに、現在の状況や心境を踏まえて、カウンセラーが相談に乗ります。
夫婦関係の修復を目的としている場合は、まずカウンセラーが40分ほどかけて、ひとりずつ別々にじっくりと話を聞き、その後に3人で話し合いをおこないます。話し合いの中で「夫婦関係を修復するために何をすべきか」を明確にしたのち、最後にカウンセラーが夫婦に向けて『課題』を渡し、カウンセリングは終了となります。
初回のカウンセリングを経て、カウンセラーのアドバイスをもとに課題をおこないます。その後、夫婦関係の改善が見られないようでしたら、2回目以降も必要に応じてサポートを受けることが可能です。
夫婦カウンセリングのメリットは?
みなさんの中には「何もお金を出してカウンセラーに相談しなくても、信頼できる友人に相談すればいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、友人にアドバイスを求めた場合、意見が偏ってしまう可能性があります。心情的に、妻の友人であれば妻の味方をしてしまうでしょうし、夫の友人は夫の味方をするでしょう。
夫婦カウンセラーに相談するメリットは、カウンセラーが両者の間に入り、公平な立場から意見をしてくれることです。また、心理カウンセリングや法律知識を持ったプロならではの、専門的なアドバイスをもらえます。
加えて、「パートナーから受けているこの行動はモラハラにあたるのだろうか」とお悩みの方も、正しい知識を持っている夫婦カウンセラーに相談することで、疑問が解決するでしょう。
夫婦じゃなくても受けられる?
法律上での婚姻関係がなくても、婚約中のカップルや内縁関係にある方、事実婚の方なども夫婦カウンセリングを受けることが可能です。
婚約中の方だと「婚約してしまったけどこのまま結婚していいのか」などのお悩みに対応しています。
夫婦カウンセリングの料金は?
すまいる相談室を例にすると、
【夫婦カウンセリング】
初回120分まで:30,000円
2回目以降90分まで:22,000円
【個人カウンセリング】
初回90分まで:15,000円
2回目以降60分まで:10,000円
となっています。
上記は基本的なメニューの料金となっており、すまいる相談室の場合は「心理検査(エゴグラム)」といったメニューも提供しています。エゴグラムでは質問に回答することで、性格や行動傾向などの分析が可能です。エゴグラムの結果をもとにパートナーとの相性を調べることができ、問題解決の参考にしています。
カウンセリングを受ける夫婦の年齢層は?
夫婦カウンセリングを受ける方々の年齢層は20〜60代と幅広く、特に多いのが30〜50代の方々です。
カウンセラーに相談をするタイミングは夫婦によりけりで、最近では、結婚相談所やマッチングアプリで知り合ってすぐに結婚した、というケースが増えたためか、結婚して2〜3年もしないうちに「実はパートナーと価値観が合わなくて……」と、カウンセラーに相談する方も多いようです。
また、上記のケースとは逆で、長いこと夫婦問題を放置していて、いざ熟年離婚の問題に直面したとき、初めてカウンセラーにアドバイスを求めるケースもあるのだとか。
最近では「コロナ禍がきっかけで夫婦関係がおかしくなった」というお悩みも多いようです。
信頼できるカウンセラーはどうやって選べばいい?
基本的にみなさん、インターネットで「夫婦カウンセリング」「夫婦カウンセラー」などと検索して、カウンセラーを比較されると思います。ただ、ネット上でわかる情報としては、カウンセラーの経歴や料金、事務所の立地など、表面的な情報ばかりです。カウンセラーの人柄までは伝わらないでしょう。
そこで、まずは「自宅から通いやすいか」「無理なく継続して受けられる料金設定か」「カウンセラーの経歴に問題がないか」などを総合的に見て、初回カウンセリングを受けてみるといいでしょう。
カウンセラーとの信頼関係は、カウンセリングの回数を重ねるごとに深まっていくもの。ネット上の情報だけでカウンセラーを信頼できるか判断するのはなかなか難しいため、カウンセリングを受けてみて、「しっかりと自分の悩みに寄り添ってくれるか」「悩みに対して的確なアドバイスをくれるか」を見極めるといいでしょう。
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今回は、夫婦カウンセラーの北村さんに「夫婦カウンセリングとは?」というテーマでお話を伺いました。
北村さんに「読者の方々に伝えたいことはありますか?」と質問したところ、「夫婦カウンセリングは自分を見つめ直すチャンスでもあるんです」と熱く語ってくれました。夫婦関係は合わせ鏡のようなものだからこそ、トラブルが起きたときに「絶対に相手が悪い」と思ったとしても、実は自分の中に夫婦関係が悪化した原因が潜んでいることもあるのだとか。北村さんは続けて「自分をじっくり見つめ直したいと思っている方には、個人で受けるカウンセリングも大事にしてほしい」と話してくれました。
生涯のパートナーだからこそ、夫婦間のトラブルはできれば放置したくないもの。夫婦関係で問題を抱えた際などは、プロに相談してみるのも選択肢のひとつですね。
イラスト/にしこ
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