「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」と、ママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。その中から特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、産後のママの様子を心配した、やさしいパパからのご相談です。
Q. 出産後、妻がよく泣くようになりました
出産後、産婦人科を退院して親子3人でわが家での生活が始まりました。里帰りは家庭の都合でできないため、妻はなれない土地での初育児となります。おっぱい以外の世話は夫である僕もできるので、慣れないながらがんばってやっています。僕がいないときは、たまに僕の母親(妻の義母)が顔を出して家事を手伝ってくれています。
本題なのですが、妻が涙もろくなったのか、よく泣くようになりました。号泣とかヒステリックに泣くわけではなく、ポロポロと涙を流す感じです。「あなたに話しかけられると涙が出てくる」と言っていました。怒っているわけでもなく、悲しくて泣いているわけでもなさそうです。笑いながら泣いています。初めての育児であり、しかも気兼ねなく話せる人が僕しかいないため、いろんな不安があるんだろうなと思います。やはり出産すると何かしら理由があって、夫と話しただけで涙が出たりするものですか? 正直、喧嘩して妻を泣かせたこともあるので、妻に泣かれると自分にも非があるのではないかと思って落ち着きません。泣いてることに対してあまり干渉しないほうがいいですか?
宮川めぐみ助産師からの回答
とても理解があって協力的で、奥さまもきっと心強いだろうなぁと思います。産後は、ホルモンの影響により涙もろくなってしまったりします。心もとても敏感です。
質問者さんは、引き続き奥さまの言われていることによく耳を傾けていただけたらと思います。また、奥さまの性格にもよるかと思いますが、黙って胸を貸してあげたり、奥さまがいつでも話しかけやすいように何気なくお茶を出してもらったり、ちょっとした声かけをされたりするのもいいのではないかと思いました。ただお話を聞いてもらえるだけで気持ちが救われることも多いと思います。
個人差はありますが、時間が経つにつれて落ち着いていくことがほとんどです。奥さまにとって、質問者さんはとても安心できる存在なのだと思います。これからも良き理解者でいてあげてくださいね。
※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー〈 https://baby-calendar.jp/talk/category/tree/11/0 〉
なぜか涙が出ちゃう……マタニティブルー
赤ちゃんが生まれると、胎盤も役割を終え、ママのからだから出てきます。妊娠中、大量のホルモンを作り出していた胎盤がなくなると、一気にママのホルモンバランスが変化します。このホルモンバランスの変化に加えて、寝不足や育児に伴う疲労などでママの気持ちが落ち込んでしまいます。
マタニティブルーは、産後3~10日に発症する、一過性の抑うつ状態のことをいいます。赤ちゃんのお世話に対して負担を感じたり、ちょっとしたことで涙ぐんだり、そしてなかなか眠れないということも。
これはお産後のママの30~50%にみられ、だいたい2週間くらいで症状はなくなります。マタニティブルーは生理的変化ととらえられているので、とくに治療は必要ありません。
生理的なもの、でも重症化すると……
マタニティブルーは一過性のものですが、症状が重症化すると、産褥期精神病のひとつである「産後うつ病」に移行してしまうことがあります。産後うつ病の多くは、産褥1カ月以内に発症し、お産後のママの約3%にみられます。症状は一般的なうつ病と変わらず、何もやる気がなくなったり、睡眠や食欲の変化したり、集中力の低下や気持ちの落ち込みなど、さまざまな症状が現れます。
産後うつ病は病気です。「これはマタニティブルーの範疇ではないな」と思ったら、メンタルクリニックを受診し、適切な治療を受ける必要があります。
ママだけではどうにもならないこともある
いくらマタニティブルーが生理的なものだとしても、周りの理解と協力がなければ、産後うつ病に移行してしまう可能性があります。
産後ママにとっていちばんつらいのは、今のこの状況を理解してもらえないことだと思います。お産後、周りの人の関心は小さな赤ちゃんに移ってしまい、ママの気持ちにはなかなか気付かなかったりするんです。
産後ママがほしいのは励ましの言葉ではなく、ママの気持ちを理解しようとする姿勢なのかなと思います。産後、ママのこころとからだがどのように変化するのかをお産前にパパにレクチャーしておけば、パパもどうしていいかわからないということにはならないかもしれませんね。
※参考: ニュース(医療)「知ってる?産後のメンタル不調「マタニティブルー」と「産後うつ」の違い」〈 https://baby-calendar.jp/smilenews/detail/2363 〉【著者:助産師REIKO】
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