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逆子は治せるの?自然分娩はできる?!逆子の予防法は冷え対策?!

この記事では医師監修のもと、逆子(骨盤位)について解説します。逆子(骨盤位)の頻度は、約5%と言われています。妊娠中期までの逆子(骨盤位)は決してめずらしいものではなく、自然と治って頭位になることも多いといわれています。一方、逆子(骨盤位)のまま分娩にいたることもあります。

逆子になった妊婦さんのイメージ

 

妊娠中期以降の健診で、医師から「逆子」だと言われることがあります。おなかの中の赤ちゃんは通常、頭を下にしてママのおなかの中に入っていますが、何らかの原因で頭を上にしている赤ちゃんがいます。この状態を「逆子(骨盤位)」といいます。なぜ逆子になってしまうのでしょうか?治す方法はあるのでしょうか?逆子の分類、リスク、治し方などについてご説明します。

 

逆子(骨盤位)とはどのような状態?

「逆子」とは、正確には「骨盤位」と呼ばれる状態です。


おなかの中の赤ちゃんは通常、頭を下にしてママのおなかの中に入っています。これを「頭位」といいます。これに対し、赤ちゃんの頭が上の方にきている状態が逆子(骨盤位)です。

 

逆子(骨盤位)の頻度は、約5%と言われています。妊娠中期までの逆子(骨盤位)は決して珍しいものではなく、自然と治って頭位になることも多いといわれています。一方、逆子(骨盤位)のまま分娩にいたることもあります。

 

逆子の種類は1つじゃない!逆子の分類

逆子はママと赤ちゃんの位置関係によって次のように分類されます。

 

殿位(でんい)

赤ちゃんのおしりの部分がいちばん下にある状態をいいます。
 ・単殿位:赤ちゃんが両足を持ち上げた状態
 ・全複殿位、不全複殿位:赤ちゃんが膝を折り曲げた状態。両膝を折り曲げた状態が全複殿位、片膝だけ曲げた状態が不全複殿位です。

殿位のイメージ

 

膝位(しつい)

赤ちゃんの膝がいちばん下にある状態をいいます。
両膝が下にある全膝位と、片膝だけを下につけた不全膝位があります。

膝位のイメージ

 

足位(そくい)

赤ちゃんの足がいちばん下にある状態です。両足が下に来ている全足位と、片足だけの不全足位があります。

足位のイメージ

 

逆子になるのはなぜ?

なぜ逆子(骨盤位)になってしまうのでしょうか?

 

逆子(骨盤位)になる原因には、赤ちゃんがおなかの中で自らくるんと体の向きをかえられないため生じると考えられていますが、原因がはっきりしたものはほんの一部です。

 

逆子(骨盤位)の原因・リスクには以下のようなものがあげられます。


<ママ側の要因>
・子宮の形が通常とは違う形になっている(形態異常)
・子宮筋腫
・胎盤の位置が通常とは違う位置にある(前置胎盤・低置胎盤)
・狭骨盤

 

<赤ちゃん側の要因>
・早産
・多胎(双子以上)
・羊水過多
・胎児奇形(無脳児・水頭症)

 

逆子の原因には諸説ありますが、不明な点が多いのが現状です。したがって、現時点で逆子を予防するための有効な手段はありません。ですが、「冷え」が原因と言われていることもあります。腹帯などでおなかを冷やさないようにしたり、体を温めるはたらきのある食べ物を摂るなどして、冷えを予防していきましょう。

 

逆子(骨盤位)は治せる?

逆子(骨盤位)と診断された場合、妊娠30~35週ごろまでは、自然に赤ちゃんが頭位になることを期待して、「逆子体操(胸膝位・ブリッジ法)」などをおこなうことがあります。また、妊娠35週を過ぎたら、外回転術を試みることもあります。

 

逆子体操

・胸膝位
1)四つん這いの姿勢から手と腕を伸ばし、肘を床につけます。
2)おでこ・顔もゆかにつけます。
3)おしりをいちばん高くあげます。

 

・ブリッジ法
仰向けの姿勢で腰からお尻の下に折り畳んだタオルなどを挟み、腰を持ち上げます。膝は曲げ、足の裏を床に着けます。

 

逆子体操は10~15分おこないます。その後、赤ちゃんの背中がある方を上にして横向きになって休みましょう。


逆子体操をおこなうことで、おなかが張ってしまうことがあります。早産傾向のある方はおこなうことができません。また、体操中におなかの張りを感じたり気分が悪くなったりしたら体操をやめ、休むようにしましょう。

 

外回転術

外回転術は、子宮収縮抑制剤を投与しながら、ママのおなかの上から医師の手で赤ちゃんの向きをかえる方法です。成功率は60~70%との報告があり、常位胎盤早期剥離やおなかの中の赤ちゃんの心拍が低下するなどのリスクもあるため、さまざまな条件を鑑みて適用されます。

 

逆子の分娩法は?自然分娩はできる?

逆子(骨盤位)と聞くと、自然分娩は難しいと思われがちですが、初産か経産か、おなかの中の赤ちゃんの姿勢や赤ちゃんと骨盤の大きさはどうかなど、条件によっては経腟分娩(いわゆる自然分娩)が可能です。

 

ですが、逆子(骨盤位)の赤ちゃんの出産の際には、頭位の場合とは違った分娩介助技術が必要とされるため、熟練した医療者の存在が欠かせません。

 

また、赤ちゃんがお産の途中でばんざいの姿勢をとってしまうこともあります。そうなると、赤ちゃんの頭がスムーズに出てこられなくなり、苦しくなってしまいます。そのほか、陣痛が弱くなってしまったり、破水とともにへその緒が赤ちゃんより先に出てきてしまうおそれもあります。

 

条件によっては、自然分娩も可能な逆子(骨盤位)ですが、米国産婦人科学会の勧告を受けて、日本でも帝王切開を選択するケースが増え、今ではほとんどの産院で逆子(骨盤位)の場合、帝王切開がおこなわれています。 

 

まとめ

医師から逆子(骨盤位)だと言われ、動揺してしまうママもいるかもしれません。しかし、逆子(骨盤位)自体は決してめずらしいことではありません。


なかには帝王切開を望まないママもいるかもしれません。医師の説明をきちんと聞き、出産までに分からないことは確認して、ママと赤ちゃんにとって、出産方法を選択できるとよいですね。

 


日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

 

※参考:『病気が見えるvol.10 産科』(メディックメディア)

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