おしゃぶりをしている赤ちゃんを見て愛らしいと思う人も多いことでしょう。よく、おしゃぶりを使用している赤ちゃんを見かけますが、おしゃぶりは必ず使用しなければいけないというものではありません。ここでは、おしゃぶりの効果とメリット・デメリット、注意点などについてご紹介します。
おしゃぶりをするのはなぜか
おしゃぶりをするのは、赤ちゃんにある吸啜(きゅうてつ)反射によるものです。吸啜反射とは、赤ちゃんの口の中に指や乳首を入れると規則的に吸い始めるというものです。吸啜反射は赤ちゃんが生まれたときから備わっている原始反射のひとつで、生後数カ月にわたって続きます。
おしゃぶりの効果とメリット
おしゃぶりには、安心感を得られる効果があるため、赤ちゃんがリラックスしたいときや不安なときにおしゃぶりを求めるとされています。そのため、何をしても泣き止まないときにおしゃぶりを与えると、泣き止むことがあります。
そのことで、一時的に母親の子育てに対するストレス軽減にもなります。しかし、「おしゃぶりをすると舌や顎の発達を促す」といわれるような謳い文句に関しては、現時点では医学的に検証されていません。
おしゃぶりのデメリット
おしゃぶりのメリットは、デメリットにもなり得ます。
おしゃぶりを与えることで泣き止むようになると、ついおしゃぶりを頻繁に与えてしまう習慣がついてしまいます。そうすると、赤ちゃんが泣いている理由をよく考えずにおしゃぶりを与え、赤ちゃんと向き合う機会が減る場合があるのです。
また、おしゃぶりをしている間はうまく言葉を発することができないので、言語に関する発達に支障をきたす恐れがあります。親が呼びかけても、おしゃぶりをしていることで答えられず、自ら声を発することもできないため、自然にコミュニケーションの機会が減ってしまうかもしれません。
ほかには、さまざまな物の形や味などを確認するために口で物を舐めるという行為も少なくなり、学習の機会が奪われることも考えられるでしょう。これらのことから、おしゃぶりは節度を持って与えたほうが良いといえます。
おしゃぶりを使うのはいつからいつまで?
おしゃぶりは、新生児用のものであれば生まれて間もなくから使用できます。多くの場合、赤ちゃんが指しゃぶりを頻繁にしていて、指の皮膚がただれてしまったり、寝かしつけに時間がかかるときなどをきっかけに使い始めるようです。しかし、必ず使うべきというものではなく、慎重に使用することが大切です。
また、「泣き止む」というメリットは、生まれて間もない赤ちゃんに対しては不要と言えます。まずは、赤ちゃんとしっかり触れ合うために、おしゃぶりはつけずに過ごすことをおすすめします。できるだけおしゃぶりは使わないようにして、赤ちゃんが泣いている理由がわからないためにストレスが溜まるというような状況に陥ってから使うと良いでしょう。できるだけおしゃぶりは使わないという考えを持ち、うまく活用することが大切です。
また、おしゃぶりは遅くとも2歳半までには使用を中止しましょう。1歳ごろになると、言葉をしゃべるようになるので、おしゃぶりはたまに与えるようにして、発語の機会を奪わないようにすることが大切です。おしゃぶりを求めて泣き止まないようなことが続く場合は、赤ちゃんとのふれあいを大切にして、心を満たしてあげるように心がけましょう。
心が満たされていれば、少しずつおしゃぶりを求めなくなる可能性があります。また、3歳ごろは「お兄ちゃん、お姉ちゃん」に憧れる時期なので、無理やり辞めさせるのではなく、「おしゃぶりは赤ちゃんが使うもの」と認識させるように話をしてもよいかもしれません。4歳を過ぎてもおしゃぶりが取れない場合には、小児科医に相談しましょう。
おしゃぶりの注意点
おしゃぶりを多用することで、出っ歯になったり、開咬(前歯が噛み合わないために口を閉じられない)になったりするとの指摘があります。おしゃぶりの使用をやめると改善される傾向がありますが、乳臼歯(奥歯)が生えそろう2歳半~3歳ごろになっても使用している場合は、歯並びが悪い状態になる可能性があります。
歯並びが悪いことの問題点は、見た目が悪いということだけではありません。歯と歯の間に歯垢が溜まり、虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。歯を失うことにも繋がるので、噛み合わせが悪くなるような行為は避けたほうが良いでしょう。
まとめ
おしゃぶりを使っても良いのかどうかということに関しては、「おしゃぶりは使っても良いが、遅くても2歳半までにはやめたほうが良い」ということになります。おしゃぶりを使用し続けることで出っ歯や開咬のリスクが上がり、赤ちゃんの発語などの発育に支障をきたす恐れがあります。おしゃぶりは、どうしても使わなければならないとき以外は使わないようにして、うまく工夫していくことが大切です。
監修者:ゆみかおる
総合病院附属看護専門学校卒業後、総合病院小児科、保育園看護師として勤務、現在はフリーランスとして看護師として働きながら看護系の記事執筆・監修を行っている。