10月に入り、勤務先から書類が渡され、保険会社から控除証明書が届くなど、年末調整の時期になりました。以前、配偶者控除・配偶者特別控除についてお伝えしましたが、その他の内容で間違いやすいポイントについてお伝えします。
扶養控除は年間給与収入103万円以下(その他の場合は年間所得38万円以下)が対象
年末調整では、2種類または3種類の書類を記載することになりますが、“給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書”では、扶養している家族について記入します。この書類でよくある間違いは、以下の2点です。
①給与収入(アルバイト・パートを含む)で年間103万円(その他の所得は38万円)を超えている家族も記入してしまう
②1人の扶養家族を重複して記入してしまう(例:お子さんが1人の場合に、パパ・ママそれぞれが記入する)
①は配偶者以外の扶養家族が1月1日~12月31日の1年間に給与収入が103万円以内(事業や年金等のその他の所得の場合は38万円以内)であれば扶養控除の対象となりますが、この収入・所得を超えた家族を、“給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書”に記入してしまうと、対象外の家族について扶養控除を適用して所得税・住民税を安く申告したとして、後日税務署や市区町村から修正申告の上、納税を求められます。
小さいお子さんでは、所得のあるケースはほとんどないと思いますが、兄弟姉妹や両親等を扶養とする場合は注意が必要です。また、16歳未満の扶養親族は児童手当が支給されることに伴い、所得税・住民税の控除対象とはなりませんが、住民税の課税・非課税の判断をする資料となりますので、書類の下部にある“16歳未満の扶養親族”欄の記入も忘れないようにしましょう。
②は共働き夫婦でよくある間違いですが、パパ・ママがそれぞれ働いている場合、それぞれの年末調整でお子さんの名前を記入してしまうことがあります。税法上は1人の扶養家族を控除できるのは1人の納税者のみとなるため、パパ・ママがそれぞれ働いていても、パパかママどちらか1人だけが記入しないと修正が必要になる可能性があります。
給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書の見本
なお、今年(平成30年分)から配偶者控除・配偶者特別控除についての書類が増えました。昨年(平成29年分)までは、保険料控除と同一の書類に内容を記載しましたが、“給与所得者の配偶者控除等申告書”と別の書類の記入・提出が必要になりますので、ご注意ください。
給与所得者の配偶者控除等申告書の見本
年末調整に間に合わない場合は確定申告での手続きも可能
以前ご紹介した記事「FPが教えます!出産前後に休職した人は配偶者控除の対象になる場合が」でもお伝えしましたが、年末調整で間に合わない場合は、確定申告で手続きすることも可能です。年末調整後に加入した生命保険・地震保険・iDeCo(確定拠出年金個人型)等がある場合や配偶者控除・扶養控除の申請をしたものの最終的に基準額を超えて配偶者控除や扶養控除の対象外となった場合等は、最寄りの税務署での相談や国税庁ホームページで確定申告書を作成して提出するようにしましょう。
詳細が分からない場合は、年末調整の前や源泉徴収票を受け取った際に、税務署や市区町村の住民税担当部署に確認するようにしましょう。
給与所得者の保険料控除申告書の見本
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。