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赤ちゃんの湿疹の原因は?アトピーへの発展を防ぎたい!対処法を解説

この記事では赤ちゃんの湿疹(乳児湿疹)について、医師監修のもと、解説します。正しくケアすれば、赤ちゃんの湿疹は一過性で終わることが多いですが、なかには湿疹が慢性化してしまい、アトピー性皮膚炎に発展したり、ひっかくことで傷ができて、そこから細菌感染したりする可能性があるため注意が必要です。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師TANI先生
小児科 | 小児科医

杏林大学医学部卒業。葛飾赤十字産院の勤務を経て都内大学病院に小児科医として勤務。小児科専門医で、乳幼児健診や子育て相談、アレルギー診療にも携わっている。
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赤ちゃんのスキンケアのイメージ

 

新生児期から乳児期の赤ちゃんの肌に赤みを帯びたり乾燥したぶつぶつができることを乳児湿疹といいます。これは多くの赤ちゃんに起こる症状ですが、放置しておくと悪化してしまうこともあります。今回は、赤ちゃんの湿疹(乳児湿疹)について、原因と対処法、そして予防法について詳しく解説します。

 

乳児湿疹とは?

乳児湿疹とは、新生児期から乳児期に起こりやすい湿疹をともなう皮膚トラブルの総称です。現れる症状は、カサカサした湿疹や赤みを帯びた湿疹、黄色くてジクジクとした湿疹などがあります。ほとんどの場合、生後数日から、皮脂腺が多いとされる部位を中心に現れます。正しくケアすれば、一過性で終わることが多いですが、なかには湿疹が慢性化してしまい、アトピー性皮膚炎に発展したり、ひっかくことで傷ができて、そこから細菌感染したりする可能性があるため注意が必要です。

 

乳児湿疹の分類とそれぞれの原因

乳児期に現れる乳児湿疹には、原因によって分類することができます。主な湿疹は次の4つです。


■乳児脂漏性(にゅうじしろうせい)湿疹
新生児期から乳児期初期ころの月齢が小さい子どもによくみられる湿疹で、母親からのホルモンの影響で皮脂の分泌が多くなるために起こり、頭部や額などに現れやすいのが特徴です。湿疹部分はニキビに似た状態で、黄色いかさぶたのようなものがついているという特徴があります。

 

■乳児乾燥性湿疹
軽度な皮膚の乾燥によってかゆみがあり、ひっかくことでできる湿疹が乳児乾燥性湿疹です。皮膚が乾燥しているとバリア機能がとても弱くなるため、外部からの刺激に対するアレルギー反応が強く出ることで、さらに悪化することもあります。

 

■乳児汗疹性(にゅうじかんしんせい)湿疹
夏場など、汗をかきやすい時期に生じやすい乳児汗疹性湿疹は、汗疹(あせも)と呼ばれます。赤みを帯びた湿疹が特徴で、かゆみが強く、ひっかくことによって悪化し汗疹の状態が続くことでさらに症状が悪化するという悪循環が起こりやすい湿疹となります。

 

■おむつかぶれ
おむつをはいている部分にできる湿疹で、主な原因は尿や便がおむつの素材と混ざり合うことで刺激物となることですが、ゴムの圧迫や紙おむつの材質、繊維などの刺激が原因となる可能性があります。

 

乳児の肌の状態と湿疹が起こりやすい期間

皮膚には、皮脂の膜(皮脂膜)を表面に作り、乾燥や紫外線といった外的な刺激から肌を保護するバリア機能があります。しかし、乳児は皮膚の機能が未熟なため、皮脂の分泌量が不安定で、月齢が小さいほど安定していないので、湿疹や皮膚炎などの皮膚トラブルが生じやすい傾向があります。

 

■乳児の肌状態

生後2~3カ月ごろまでは皮脂の分泌機能が未熟ですが、母体から授かったホルモンが作用するため皮脂分泌が多い状態が続きます。しかし、水分量は少ないと言われています。その一方で、生後4週間を過ぎると皮脂分泌の増加が徐々に減り、生後2~3カ月ごろからは皮脂の分泌量が減少して乾燥に傾き、肌を保護するバリア機能が低下していきます。

 

■乳児湿疹が起こりやすい期間

新生児期に皮脂の分泌が一時的に増加する影響から、乳児湿疹は生後1カ月ごろから起こり始めるケースが多いですが、ほとんどが乳児期特有の症状のため、生後5~6カ月ごろには次第に消失していくといわれています。

 

しかし、誤ったケアや肌の乾燥状態が続くことで症状が悪化し、アレルギー反応がではじめて、アトピー性皮膚炎になってしまうケースもあるため、乳児期に湿疹があってなかなか治らないなら病院を受診しましょう。

 

アトピー性皮膚炎との違い・見分け方

乳児湿疹と似た症状の病気にアトピー性皮膚炎があります。アトピー性皮膚炎の場合、次のような特徴が現れやすいです。

 

・かゆみ
・肌の乾燥
・顔から全身に湿疹が広がっていく
・肘や手首、膝、足首などの関節部に皮疹が出現する

 

湿疹部分をひどくかいたり、顔に出ていた湿疹が徐々に身体へと拡大したりする様子がみられたら、アトピー性皮膚炎が疑われます。ただ、乳児湿疹とアトピー性皮膚炎には類似する症状が多く、自己判断によって放置してしまうと、かゆみがどんどん強くなり、かき傷を増やしてしまうことで皮膚の状態を悪化させてしまうことがあります。

 

アトピー性皮膚炎が疑われるような特徴がある場合は病院で診てもらい、ケア方法を教えてもらいましょう。

 

乳児湿疹の治療と予防効果のある対処方法

乳児湿疹は適切な治療をおこない、じょうずに対処することで早く治すことができ、予防もできます。

 

■治療方法
肌の乾燥やかゆみがひどくならないよう、保湿剤で皮膚をよい状態に戻す治療が一般的です。症状がひどい場合はステロイド外用剤を使うこともありますが、軽度な湿疹であれば、日々のスキンケアの改善や保湿剤だけで皮膚の状態が改善できることもあります。

 

■予防効果も期待できる対処方法
乳児湿疹は、赤ちゃんの肌を清潔に保たれていないということも原因としてあげられます。また、乾燥の予防が目的の保湿剤の量が十分でなく、日々のスキンケアも正しくできていないことも乳児湿疹が起こる原因と考えられています。それぞれ正しい方法をマスターし、症状の改善や予防を心がけることが大切です。

 

<赤ちゃんの肌の洗い方>
赤ちゃんの肌を洗うときのポイントは、次の7つです。

・せっけんはよく泡立て、優しく手で洗う
・洗い残しやすい部分を意識して洗う
・せっけんをしっかりと流す
・お湯はぬるめ
・水分は押さえるようにしてふく
・脇や首などは伸ばして洗うようにする
・長湯はしない

 

固形のせっけんの場合、泡立てネットなどを使用してよく泡立て、キメの細かな泡を作ったら、肌を泡でくるむように洗っていきます。洗い残しやすいおでこの生え際、後頭部、鼻、耳の周り、首回り、四肢のくびれやしわ、手の指先などは特に丁寧に洗いましょう。

 

低刺激なせっけんを使っていてもきちんと流せていなければ、湿疹の原因になってしまいます。洗った後は、お湯で泡をきれいに流しましょう。お湯は、熱すぎると刺激となり、余分な皮脂まで落としてしまうため、39度前後のぬるめのお湯でしっかりと流すのがポイントです。

 

水分が残っているということも湿疹の原因になることがあるため、洗い終わった後も肌を傷つけないようゴシゴシせず、タオルでやさしく押さえるようにしてふきましょう。

 

<保湿剤を塗るタイミング>

医師から指示があれば指示に従って塗る必要がありますが、とくに指示されていない場合は、着替えのタイミング、濡らしたガーゼタオルで優しく汚れをふき取ったあとや入浴後に塗るのがおすすめです。

 

<保湿剤の塗り方>
赤ちゃんの肌は大人の肌よりも薄いため、少しこするだけでも刺激となります。保湿剤を塗る際は、すりこむのではなく、優しく伸ばすイメージで塗っていきましょう。

 

<生活環境や衣服>
生活環境や着ている服がかゆみや湿疹を助長してしまうことがあるため、日常生活においては次のことに気をつけましょう。
・清潔な環境を心がけ、温度や湿度にも気を配る
・爪をこまめに切る
・赤ちゃんを抱っこする人もチクチクする素材の服は避ける

 

まとめ

乳児湿疹は、正しくケアすることで症状が早く改善し、やわらぐこともあります。そのため、気づいたタイミングで病院を受診して正しいケアをすることが大切です。皮膚トラブルが悪化させないためだけでなく、きれいな赤ちゃんの肌を守るためにも、スキンケアや予防のポイントをマスターし、乳児湿疹が起こりにくい状態を保つようにしましょう。

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