顔や性格にそれぞれ個性があるように、乳首の形にもそれぞれ個性があります。私の場合は赤ちゃんが吸いづらい形をしており、乳頭保護器を使って授乳をしていました。一生懸命吸ってもなかなか出ない、一生懸命吸われるからめちゃくちゃ痛い、という、赤ちゃんにもママにも厳しい状況で、大変つらい思いをしました。そんな私が完母になるまでの道のりについてお話ししたいと思います。
母乳じゃなければ母失格?!
きっとこういう思いを経験した人は私だけではないかもしれません。母乳神話はこの国の文化なのか、風習なのか、誰に言われた訳でもないのに、なぜだか「母乳じゃなくてはいけない」という無言のプレッシャーがありました。
私の出産した病院は母乳育児を推奨していて、周りのママたちもほぼみんな完母で育てていたため、「母乳で育てなくてはいけない!」という思い込みがありました。
恐怖の授乳タイム
しかし私の想いとは裏腹に、痛みに耐えておっぱいマッサージを受けても、私のおっぱいはなかなか吸いやすくなってくれませんでした。吸い始めには強烈な痛みに襲われ、文字通り血を滲ませながら歯を食いしばって授乳をしていたのです。
3時間毎の授乳の時間が迫るだけで暗い気持ちになって、授乳が終わると「やっと終わった!」という少しの喜びと、また次へのカウントダウンが始まった恐怖心にさいなまれていました。
私を救った言葉、「おっぱい100日」
「なんで私だけ……みんな幸せそうに授乳しているのに」。そんな風に思っていた私に、桶谷式乳房管理士でもある助産師さんが言ってくれたのが「おっぱい100日」という言葉でした。スムーズに授乳ができるおっぱいができるまでは100日くらいかかる、という意味だそうです。出口の見えないトンネルの中でずっともがき苦しんでいた私にとって、この言葉は「100日頑張ればいいんだ!」という光を照らしてくれました。
「100日頑張って、それでもだめなら諦めてミルクにしよう」。そう思うことでゴールが明確になり、痛くても頑張る力が湧いてきました。生後100日程経ったお食い初めのころ、本当に痛みなく授乳ができるようになりました。
スムーズに授乳できるようになってみれば、母乳は確かに便利です。痛くてつらい思いはしたけれども、「おっぱい100日」という言葉を信じて頑張ってみてよかったと思っています。卒乳してしまった今となっては、あのころのことも良い思い出です。
著者:わけ はるか
2017年6月に長女出産。1歳を過ぎても夜泣きに悩まされ、アメリカの赤ちゃん専門の睡眠コンサルタントに相談をし、自身も睡眠コンサルタントになるべく資格取得中。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。