「なんであんなに金持ってるんだ?」
家族がいない隙に義母の預金通帳や保険証券を盗み見た義姉・キリコ。自分も贅沢な暮らしはしていないのになぜ?と世の中の不公平さに苛立ちます。
パチンコ中、保険会社に勤める知り合いに遭遇。保険証券の写真を見せて「いい商品」とわかると「解約したい」と相談します。しかし友人は「もったいない」と解約を反対。話の流れから義母のものだと伝わるも、自分が義母になりきって解約手続きをする、と食い下がります。
生命保険は本人の了承なしに勝手に解約できないこと、家族に迷惑をかけるようなことはダメ、と説得され…。
「さんざん苦労してきたのは知ってるけどさ」長いつき合いの友人に諭され
友人に説得され、義母の保険金を横取りするのをあきらめたキリコさん。すると警察から電話があり、4歳のときに捨てられた母の死を知ります。遺骨を引き取りに行くも、「本当に私の母親?」と困惑してしまいます。
小さいときに捨てられてから一切連絡がなかった母の死。50年以上も疎遠となると「何が母親だよ」と違和感を抱いてしまうのもわかります。キリコさんは遺骨の引き取りを拒否することもできたでしょう。母の遺骨を前に「受け入れ難い」と言ってしまいますが、心のどこかでずっと母に会いたいと思っていたのかもしれませんね。
たとえ複雑な思いを抱えていたとしても、実際に母の遺骨と対面することで、キリコさんの心の中に何かしらの変化が生まれたのではないでしょうか。長い間、心の奥底にしまっていた感情と向き合うことで、少しでも気持ちが軽くなることを願います。