泣き止まない娘に焦っていると…
隣のテーブル席に座っていた60代くらいの男性に、「ここはレストランだぞ! 子どもが騒ぐところじゃない。ゆっくり食事ができないから出て行ってくれ」と言われました。私は恥ずかしさや悲しさなど、いろいろな感情が沸きあがって、「すみません、すぐに出て行きます」と言って、娘を連れてお店を出ようとしました。するとそこへ、遠くの席に座っていた40代くらいの女性が向かってきて、「遠くの席までよく泣き声が聞こえるよ。最近の親は公共の場で子どもを泣かせすぎじゃない? もうちょっと静かなところで食事したいものだわ」と嫌みっぽく言うのです。なんと女性は遠くの席に座っていたにもかかわらず、私と隣の席の男性がトラブルになっているのを見て、わざわざ苦情を言うためにこちらに来たようでした。
2人から一方的に責められ、涙が出そうになった私。2人の剣幕に怯えた娘は、泣き止むどころか、泣き声がヒートアップするばかりです。私は謝ることしかできず、一刻も早くお店の外へ出たいと思い、なんとかその場をやり過ごそうとしていました。すると、「お話し中、少々失礼いたします」という男性の声が。顔を上げると、そこには40代ほどの、眼鏡をかけやさしそうな顔つきの、店長さんと思わしき男性が立っています。
私を責めていた2人は店長さんに「子どもがずっと泣いていて、うるさくてかなわない。早く追い出してくれ」と口々に言いますが、店長さんはそんな2人を制止。「お言葉ですが、当店では年齢や性別に関わらず、すべてのお客様にお食事をお楽しみいただきたいと考えております。小さなお子様連れのお客様も、大歓迎です。ほかのお客様に対する過度な指摘は、お控え願います」と2人に言いました。さらに隣の席の男性には「お子様の泣き声が気になるようでしたら、奥の個室にご案内いたします」と言い、女性には「お料理をお持ち帰りいただいて、ご自宅でゆっくりとお召し上がりいただくことも可能です。また、昼過ぎや夕方ごろなど、比較的お客様が少ない時間でのご来店もおすすめいたします」と続けます。
店長さんさんの完璧な返しに言葉を詰まらせた2人は、私のほうを見ることもなく、すごすごと各自の席に帰っていきました。そして、隣の席の男性はウエイターに個室へと案内され、再び落ち着いた空間が戻ってきたのです。私はすぐさま店長さんに「お騒がせして申し訳ございません。ありがとうございます……!」とお礼を言うと、「とんでもございません。お子さんも怖い思いをしてしまいましたよね」と気づかってくれたのでした。
ひとまず気持ちを落ち着かせようと深呼吸をしていると、厨房へ帰ったはずの店長さんが再び訪れます。そして、「先ほどは怖い思いをされましたね。私たちスタッフの目が届いておらず、誠に申し訳ございません。お詫びにこちらをサービスさせていただきますので、ぜひお子様と一緒にゆっくりと召し上がってください」と言い、デザートのパンケーキをサービスしてくれたのです。フルーツがのった豪華なパンケーキに、娘は大喜び。店長さんは娘の笑顔を見て、安心したような顔でその場をあとにしたのでした。
場合によってはお店の評判に関わる可能性もある状況で、リスクを顧みず2人の怒りを鎮め、私と娘のケアまでしてくれた店長さん。うるさくしてしまったことは本当に申し訳ないと思いますが、強めの態度で責められて怖かったので、店長さんの対応には本当に救われました。もし同じように困っている人がいたら、店長さんのようにためらわずに手を差し伸べられる人でありたいと思った出来事です。
著者:安藤沙奈/20代・ライター。1歳の娘を育てるママ。娘が生後7カ月のときに復職。夫は残業で帰宅時間が遅く、平日はほぼワンオペ。子どもを寝かしつけたあとに、自分へのご褒美で食べるスイーツが大好き。
作画: yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年3月)
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