初めてのバス移動にドキドキ
娘が生後8カ月のころ、初めてベビーカーでバスに乗ることにチャレンジしました。「泣いたらどうしよう」「混んでいたら乗れないかも」と不安でしたが、バスは空いていてスムーズに乗車。
ホッとしたその瞬間、後ろの席から「ベビーカーの人! そんなところに乗っちゃダメだよ!」と突然声が響いたのです。
娘が生後8カ月のころ、初めてベビーカーでのバス移動にチャレンジすることに。「泣いたらどうしよう」「混んでいたら乗れないかも」と不安はありましたが、バスは空いていてスムーズに乗車できました。
ホッとしたその瞬間、後ろの席から突然、「ベビーカーの人! そんなところに乗っちゃダメだよ!」という声が響いたのです。
注意されて困惑!でも、その真意は…
振り返ると、60代くらいの男性がこちらを見ていました。
「怒られた……?」と心臓がドキドキ。
「やっぱり迷惑だったのかな……」と焦って、「すみません」と謝ると、「もっと前に行きなさい! そこにいたら誰も気づかないよ!」と返ってきたのです。
一瞬戸惑いましたが、前方の席に座っていた女性が「どうぞ」と声をかけて席を譲ってくれたことで、ようやくその意味に気づきました。
あの男性は、「その場所だと誰にも気づいてもらえないから、もっと前に行って、声をかけてもらえるようにしなさい」と、親切心から伝えてくれていたのでした。
譲られた席と、思いがけないやさしさ
譲ってもらえたのは、ベビーカーをそのまま停められるスペースに近い席。娘と顔も近く、あやしやすい距離感で、娘はご機嫌。バスの中でも穏やかに過ごせました。
降りるときには、声をかけてくれた男性がベビーカーを支えてくれて、「バスは段差あるからね。赤ちゃん連れは大変だよね」と一言。そのやさしい声かけと行動に、私はじーんと心があたたかくなりました。
初めてのベビーカーでのバス乗車。「そんなところに乗っちゃダメ!」と言われて驚きましたが、その声かけのおかげで、ベビーカーを置ける席を譲ってもらい、無事に目的地までたどり着くことができたのでした。
慣れないお出かけで、周りの目が気になったり、不安になったりしていましたが、そんな中でも思いがけないかたちで人のあたたかさに触れることがあると実感……。私もあの男性のように、周りに気を配り、困っている誰かをそっと助けられる人になりたいと感じた出来事でした。
著者:宮田 さや/30代女性。2019年生まれ・発達ゆっくりさんな娘のママ。子育ての合間に勉強し、幼稚園教諭と保育士の資格を取得。子どもと関わる仕事に憧れつつも、現実はワンオペ育児に奮闘中。趣味は旅行で、近々、旅行先で惹かれた地域に移住予定。自分にも娘にも甘めで、毎日ゆるゆる、楽しく過ごしている。
イラスト:ちゃこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)