今日も、カートから降ろした瞬間に…
私には、イヤイヤ期の2歳の娘がいます。この日も、スーパーでの買い物帰りに娘が大の字になって寝転び、大絶叫。カートから降ろした瞬間に床に転がり、イヤイヤ行動が全開に。私はレジ袋と荷物を両手に持ちながら、冷や汗とともに周囲の視線を痛いほど感じていました。
「ああ、またか……」とため息をついたそのとき、背後からヒソヒソと声が聞こえてきました。「最近の親って子どもに甘いわよね、しつけがなってない」。振り返ると、年配の女性2人組がこちらを見ながら、あからさまにささやいているのが目に入りました。私は騒ぐ娘をおちつかせることができないもどかしさと、周囲からの冷たい言葉で泣きそうになりながら、「すみません……」としか言えず、困り果てていました。
するとカートを押していた別の女性が、私の前にスッと立ちました。30代くらいの女性です。そして2人組に向かって「すみません、さっきから聞こえてますよ」と話しかけます。え? と驚く私の前で、その女性は続けました。「私も子育て中の母親なので言わせてもらいますけど……。大先輩だからよくご存知だと思いますが、子育てって本当に大変なんですよ。イヤイヤ期は特に……。毎日、お母さんたちがどれだけ頑張ってるか、少し想像してもらえませんか?」
続けてそのママさんは、「気になるなら、ご自身のこれまでの子育てスキルをいかして、お母さんの代わりになだめてあげたらいいじゃないですか」「昔はいろいろ周囲が子育てスキルを教えてくれたって聞くけど、こんなふうに陰でコソコソ言うスタイルだったんですか?」と言います。そのママさんの言葉はまっすぐで力強く、聞いていた年配の女性たちは気まずそうに「うるさかったから……」とだけ呟いて、そのまま立ち去っていきました。
うるさくして迷惑をかけてしまったことについては本当に申し訳ないと思っていましたし、ご年配の2人組を責める気持ちは私にはありませんでしたが、それでもママさんに日々の子育てで感じるつらい気持ちを代弁してもらえて、理解者がいたとわかったことがうれしくて、思わず泣きそうに。
「本当にありがとうございます……」とお礼を言うと、「私も2人の子どもがいるので、お気持ちはわかります。お互い頑張りましょうね」と言って、ママさんはスマホケースからスッと動物が描かれたシールを取り出し、娘に渡してくました。さきほどまで騒いでいた娘も、かわいいシールをもらえて機嫌を取り戻します。それを見て微笑みながら立ち去るママさんの姿は、まるでヒーローのように見えたのです。
イヤイヤ期は、どうにもできないママの複雑な心と、いまだ理解の少ない社会との摩擦で、何倍もしんどく感じる時期だと私は思っています。それでも寄り添ってくれる誰かがいるだけで、涙が出るほど救われるのだと実感。私も、誰かが困っているときは、「大丈夫ですよ」のたったひと言でもかけられる人でありたいと思った出来事でした。
著者:松原櫻子/30代・ライター。2歳の娘を育てる母。イヤイヤの地雷を踏まないように、日々忍者のごとくそろりそろりと歩いている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年4月)
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