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ピルの効果は避妊だけじゃない?生理痛の軽減や肌荒れ改善など副効果も?

この記事ではピルの使い方について、医師監修のもと解説します。低用量ピルは、避妊だけではなく月経痛の改善や月経に伴う不快な症状(PMS)の改善、月経不順の改善、子宮内膜症の進行防止などの効果があります。ほかにも、生理周期が安定することで生理開始日が予測できたり、ニキビなどの肌荒れが改善するという効果も期待できます。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師太田 篤之 先生
産婦人科 | おおたレディースクリニック院長

順天堂大学卒後、派遣病院勤務を経て、平成22年より順天堂静岡病院周産期センター准教授就任。退職後、平成24年8月より祖父の代から続いている「おおたレディースクリニック」院長に就任し現在に至る。
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ピル服用のイメージ

 

ピルと聞いて避妊薬として思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。避妊効果が高い薬として知られている以外に、生理痛を和らげてくれる効果などもあります。ここでは、ピルの使い方、効果と副作用、購入方法などを解説していきます。

 

ピルとは?

ピルとは、経口避妊薬のことをいいます。英語だとoral contraceptiveといい、OCとも呼ばれています。卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を合わせた薬です。この2つのホルモンが脳下垂体に働きかけて、卵胞を成熟させるホルモンの分泌を抑えて、排卵を止めます。避妊以外にも月経トラブルの改善や、子宮疾患の進行を抑えるためにも使われています。

 

ピルの種類

ピルは、含まれる女性ホルモンの量に応じて、超低用量ピル、低用量ピル、中用量ピル、に分類されています。現在の経口避妊薬として処方されているのは、低用量ピルがほとんどです。ピルに含まれる卵胞ホルモン(エストロゲン)含有量が50μℊ未満のものが、低用量ピルです。

 

配合されるホルモン量で分類される「相性」

ピルは、1周期の中でのホルモン量の違いにより、1相性と3相性に分かれています。
・1相性:服用する薬に配合されているホルモン量は一定です。生理日の調整に便利です。
・3相性:本来の自然なホルモンバランスに近くなるように、ホルモンの成分が3段階に変化します。

 

低用量ピルの使い方と効果

ピルを使って避妊をする場合、正しい方法で服用することが大切です。服用方法を誤ると、効果を得ることができません。

 

低用量ピルの使い方

低用量ピルには、1シートあたり21日分のものと28日分のものがあります。一度服用を始めたら最後まで飲み続けることが必要です。

 

一般的には、生理開始日(初日)に最初の薬を服用します。これをDay1スタートと呼びます。また、生理が始まってから最初の日曜日に服用を開始する方法もあり、これはサンデースタートと呼ばれています。


 21日タイプのものは、連続して21日間服用したあと、7日間は薬を服用しない期間があります。一方、28日タイプの場合は、21日間連続して服用したあと、ホルモンの含まれていないプラセボ(偽薬)を7日間服用します。プラセボの役割は、飲み忘れを防ぐことです。薬を飲まない期間を設けず、毎日服用する習慣をつけておくことで、スムーズに次の周期に移行させることができます。

 

低用量ピルの服用タイミング

1日のうちで飲む時間帯は特に決まっていませんので、自分が毎日飲みやすい時間を決めて薬を飲んでいきます。なるべく毎日同じ時間に飲むようにし、前日と飲んだ時間が12時間以上開かないようにしましょう。12時間以上遅れると不正出血の原因となることがあります。

 

低用量ピルの効果について

低用量ピルは、薬の種類にもよりますが、服用したその日から避妊効果が現れるものもあります。週末に生理がこないように調節する場合は、サンデースタートが用いられます。しかし、薬の効果が切れるのも早いため、継続して飲み続けることが必要となります。

 

低用量ピルで得られる副効果

低用量ピルは、安定した女性ホルモンの供給がおこなわれるため、避妊だけではなく月経痛の改善や月経に伴う不快な症状(PMS)の改善、月経不順の改善、子宮内膜症の進行防止などの効果があります。さらに、子宮体がんのリスクを減らす効果もあります。ほかにも、生理周期が安定することで生理開始日が予測できたり、ニキビなどの肌荒れが改善するという効果も期待できます。

 

低用量ピルの副作用

低用量ピルは配合されているホルモン量が少なく、体にかかる負担が少ないのが特徴です。しかし、初めてピルの服用を始めた直後は副作用が出ることもあります。

薬を服用し始めたときには、吐き気、めまい、頭痛、不正出血、乳房の張りなどが出ることがありますが、症状の多くは1~2カ月でおさまっていきます。症状が重い場合は、下痢や嘔吐がおこることもあり、つらい症状が続く場合は医師へ相談しましょう。場合によっては、ピルの服用を中断することもあります。

ピルを内服する上で最も危険な副作用は静脈血栓症ですが、低用量ピルの開発により飛躍的に改善されています。また、ピルを服用すると太るという噂については根拠がないとされています。

 

ピルの服用ができない人

WHOでは経口避妊薬を使用できない人を下記のように定めています。

 

・授乳中の方

・産後21日以内の方
・35歳以上で1日15本以上タバコを吸っている方

・乳がんにかかっている方、かかったことがあり3年間再発がない方

・血栓症、高血圧、糖尿病のある方

・大手術の前後の方 など


低用量ピルの服用を考えている場合は、事前に自分でも服用して大丈夫かどうか確認しておくこと良いでしょう。


参考:岡山医学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」(『岡山医学会雑誌』第119巻 January 2008, pp。 315-317)

 

低用量ピルの費用と買い方

低用量ピルは、薬局などでは販売されておらず医師から処方してもらう必要があります。

 

低用量ピルの費用

低用量ピルの費用以外にも初診料、再診料、処方料などの費用がプラスされます。金額は、医療機関ごとに異なるためあらかじめ電話などで確認しておくことをおすすめします。月経困難症などの治療のために処方される場合は、保険が適用になりますが、避妊を目的とした場合の低用量ピルの処方は、保険適用になりません。

 

低用量ピルのネット購入について

日本では医師の処方がなければ購入することができません。ネットでは個人輸入でピルが販売されていることもありますが、国内では承認されていないものや品質管理が信用できないもの、偽物が混ざっている可能性もありますので、リスクの方が大きいです。ピルの服用は、誤った使い方では正しい効果が得られないだけではなく、重篤な副作用を招くリスクもあるため、必ず医師に処方してもらいましょう。

 

まとめ

低用量ピルは、配合されているホルモンの量や種類によって分類されており、毎日服用し続けることで避妊効果があります。また、低用量ピルは服用することで、避妊効果以外に月経痛の軽減やニキビ・肌荒れを改善するなどの副効果も期待できますが、使用する際は必ず医師に処方してもらいましょう。

 


※参考:

・『病気がみえる Vol.9 婦人科・乳腺外科』(P94-97/メディックメディア)

・ 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤のガイドライン作成 小委員会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)」

・ 岡山医学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」(『岡山医学会雑誌』第119巻 January 2008, pp。 315-317)

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