医師が教える、1歳からの離乳食と歯磨きで工夫するといい4つのこと

2019/03/05 22:00
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離乳食に関してお口の発達の観点からみる、適切な進め方を日本歯科大学の田村先生が解説します。今回は1歳~1歳6カ月ごろの赤ちゃんにみられる、前歯でのかじり取り、手づかみ食べからスプーンへの移行、歯磨きについて大切なポイントをお話ししていただきました。離乳食や歯磨きの悩みを解決するヒントがあるかもしれません。
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手づかみ食べ

離乳食を手づかみで食べる赤ちゃんのイメージ

 

こんにちは、日本歯科大学の田村です。前回は、9~11カ月ごろの離乳食の進め方を解説しました。今回は、1歳~1歳6カ月ごろの赤ちゃんのお食事について、手づかみ食べやスプーンの使う時期や選び方、歯磨きの4つのポイントを解説したいと思います。

 

1歳~1歳6カ月の離乳食の特徴

このころになると赤ちゃんは手づかみ食べが上手になってきます。また、個人差はありますが、上下4本の前歯が生えている赤ちゃんも出てきて、食べ物を手づかみしてかじり取れるようになります。また、1日3回大人と同じ時間帯で離乳食を食べるなど生活リズムが整ってきます。ほとんどの栄養を離乳食からとるようになるため、離乳も見え始めるころです。

 

ポイント①:かじり取りの工夫は「持てるけれどつぶせるかたさ」

かりじ取りというのは、前歯を使って食べ物をかじり取るという動きです。そのため、かじり取りを促すために、全部の手づかみ用の食べ物をひとくちサイズにするのではなく、赤ちゃんが前歯でかじり取れるような大きめの大きさのものをあげる必要があります。

 

食材のかたさとしては、1歳前後の場合はまだ前歯しかなく奥歯がないので、前歯でかじって奥の歯茎でつぶせるぐらいのものが理想です。かじり取ったはいいけれど、そのあとお口の中で処理ができなくて喉につまってしまうようなかたさはNGです。たとえば、にんじんのグラッセをやわらかくしたものや、大根を煮たもの、やわらかく炊いたごはんで作ったおにぎりや、バナナをあげるのもよいと思います。手で持てるけれどつぶせるかたさ、というイメージです。ちなみにパンは水分を吸ってモサモサしてしまい、赤ちゃんがつぶせないことがあるので、パンを与える際は、赤ちゃんが奥の歯茎で処理できることを確認してからにしましょう。

 

注意点としては、赤ちゃんに自由に手づかみ食べのものを持たせてかじりとりをさせると、まだ赤ちゃんは加減が分からないためどんどん口に押し込んでしまうことがあるので、持たせる量はママが加減してあげましょう。

 


ポイント②スプーン食べは手づかみ食べを十分に経験してから!

1歳~1歳6カ月ごろはスプーンにも興味を持ちはじめる時期でもあります。赤ちゃんが興味を持ち始めたらスプーンを持たせてあげたいですね。ただ、はじめは赤ちゃん自身がスプーンを使ってお口の中に食べ物を運ぶのは難しいので、赤ちゃんにスプーンを持たせてあげつつ、ママが別のスプーンで介助して食べさせてあげます。赤ちゃん自身がスプーンを使って食べられるようになるためには、手づかみ食べを十分に経験することが大切です。

 

スプーン食べは手づかみ食べを十分に経験してから!

赤ちゃんの手と口は、先に口が発達し、まだ上手ではない手が口に合わせていくという動きをして、手も口も発達していきます。手で食べようとすると、手も頑張らないといけないので口の動きがおろそかになってしまうこともあります。ですが、これを繰り返すうちに手づかみで食べられるようになるのです。スプーンで口に食べ物を運ぶのは、道具の先にあるものを運ぶということなので、手で運ぶよりもずっと難しいので、赤ちゃんが練習をするのは手づかみ食べを十分に経験してからはじめましょう。


ポイント③:赤ちゃんが持つスプーンの選び方。長さやえの幅は? 

スプーンのえの部分や、さじにはいろいろな長さや幅がありますが、長さは手掌の幅からちょっと出るぐらいがおすすめです。赤ちゃんは手が小さいので、幅が太いと握りづらいため、細いTスプーンはつかむ力が弱いうちは安定しません。さじの大きさは赤ちゃんの口よりも幅広いと食べにくいため、口の幅よりもせまく浅いほうが食べやすいです。また、ママが持つ介助用スプーンは長くて赤ちゃんには操作がしにくいので、赤ちゃんが持つ用のスプーンと、ママが介助用に使うスプーンは分けてあげる必要があります。手の大きさや手の力、お口の幅などに合わせて選んであげましょう。可愛いからといってデザインだけで選ぶのはやめましょう。

 

なお、手のひらにぎりは親指、人差し指、中指を発達させるために必要な過程なので、持ち方がおかしいと直したりせずに、赤ちゃんの持ち方を見守ってください。

 

ポイント④:歯磨きは奥からが◎。嫌がる場合はココをチェック!

歯磨きを嫌がる赤ちゃんのイメージ

 

歯磨きは前歯がはえてきたら始めましょう。赤ちゃんをゴロンと寝かせて頭をママの膝ではさんで上から見るのが見えやすいと思います。

 

おすすめは奥から!

口の中は上の前歯の歯茎あたりと上あごの後ろが敏感です。お口を開けてほしいときに、上あごの後ろを触ると嫌がって開けてくれないことがありますが、ほっぺの口の角から指を入れて奥の歯茎のあたりをひっぱると開けてくれると思います。奥の歯茎はあまり敏感ではないので、歯磨きをするときは奥からはじめて敏感なところは最後にするのがおすすめです。

 

歯磨きを嫌がる場合は、痛いところを磨いている可能性がある!

上述したことを気を付けていても、歯磨きが嫌という赤ちゃんもいると思います。そのような赤ちゃんには、まず指で歯茎をマッサージしてあげてちょっとリラックスさせてから歯磨きをするとよいかもしれません。どうしても嫌がる赤ちゃんであれば、指にガーゼを巻いてこするだけでもよいでしょう。格闘して無理やり磨こうとすると歯磨きが嫌になってしまいその後に響いてしまいます。

 

また、上唇と歯茎をつなぐ「すじ」である上唇小帯(じょうしんしょうたい)に歯ブラシがあたると痛いので、赤ちゃんが歯磨きを嫌がる場合は、ママが上唇小帯を磨いてしまっていないかチェックしましょう

 

できれば歯磨きは食事のたびに行うのが良いですが、難しい場合は最低でも寝る前に1回は行いましょう。
 

まとめ

赤ちゃんにはできるだけ色々な食べ物を食べてほしいと思うママやパパは多いと思います。ですが、どうしても食べたくないという赤ちゃんもいるでしょう。赤ちゃんが元気で、体重も増えているようなときは大きな問題ではないことが多いです。ママやパパはパーフェクトでないことを受け入れることも大切です。もし、心配なほど食べないという場合(元気がない、おしっこが出ないなどの場合)はお住いの地域の栄養士さんに相談してみましょう。

 

監修者

医師 田村 文誉

教授


昭和大学歯学部入局後、歯学博士を取得。その後、米国アラバマ大学歯学部へ留学。帰国後は日本歯科大学に入職し、講師やマタニティ歯科外来、口腔リハビリテーション科科長などを経て、現在、日本歯科大学教授。

 

■主な経歴

1989年3月 昭和大学歯学部卒業

1989年4月   昭和大学歯学部 第三補綴学教室入局  

1991年4月 昭和大学歯学部 口腔衛生学教室入局 

1997年2月 歯学博士取得

2001年〜2002年 米国アラバマ大学歯学部 補綴学・生体材料学教室留学

2004年4月 日本歯科大学 講師

2007年4月 日本歯科大学 准教授

2010年4月 日本歯科大学 マタニティ歯科外来 併任(2012年まで)

2012年4月 日本歯科大学 口腔リハビリテーション科科長

2013年4月 日本歯科大学  教授

 

■所属学会(役職・認定医)など

日本障害者歯科学会理事

日本障害者歯科学会指導医・認定医

日本老年歯科医学会指導医・認定医・専門医

日本老年歯科医学会摂食機能療法専門歯科医師

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士

国際筋機能療法学会(IAOM)運営委員

 

■HP

日本歯科大学 口腔リハビリテーション多摩クリニック

 

■主な著書

『重症児のトータルケア改訂第2版』『小児歯科学第5版』『上手に食べるために1(共著),2(単著),3(共著)』、『乳幼児の摂食指導(共著)』、『介護予防のための口腔機能向上マニュアル(共著)』、『高齢者の口腔機能評価NAVI(共著)』『Groher & Craryの嚥下障害の臨床マネジメント(共訳)』『マタニティ歯科外来(監修)』『口から診える症候群・病気(共著)』『小児の摂食嚥下リハビリテーション第2版(共著)』ほか


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