まだお話ができない赤ちゃんとの生活は、幸せだけれど孤独を感じて息が詰まることがありました。抱っこ? おっぱい? おむつ? なんで泣いているのだろう? 何をしても泣きやまない赤ちゃんに、泣きたくなることがあった私は、赤ちゃんとの時間がより楽しく過ごせるようにとベビーサインを習いました。ベビーサインは、私のその後の生活を大きく変えてくれました。
ベビーサインって?
まだ話せない赤ちゃんでも、「バイバイ」と手を振ったり、「おいしい」と頬に手を当てたりしませんか? そんな風に、ジェスチャーや手話を用いてコミュニケーションをとる方法がベビーサインです。
習い始めるタイミングはおすわりができるようになったらと教室の説明会で聞き、生後7カ月になった娘と教室へ通うことにしました。2週間に1回通うスタイルで、教室では歌に合わせてベビーサインをしたり、絵を見てそのサインを出したりする、というレッスン内容でした。赤ちゃんは音に合わせて楽しそうで、私も他の母親と話す事で気分転換ができました。
サイン習得には根気が必要!
レッスン以外の日は、教材の絵本をサインをしながら読んだり、日常の動作にできるだけサインをつけていました。1回のレッスンで習得するは難しく、物や言葉とサインが一致する経験が必要だと教えられたのです。
習い始めは何をしているのかよくわからないのか、ぽかんと見ているだけのわが子でしたが、1歳になるころには本人からもサインが出てくるようになりました。(おっぱい)(おいしい)(もっと食べたい)(おさんぽ)など、頻度の高いものがサインとして出てきました。
それまで私から一方的なコミュニケーションだと思っていたものが、実は赤ちゃんと通じ合っていることがわかると、授乳もおむつ替えも単なる作業ではなくなり、孤独を感じなくなりました。
赤ちゃんが気持ちを伝えられる
子どもが嘔吐・下痢になったとき、おむつも替え、水分もあげて、うとうとしていたのに泣きだす、という夜がありました。何が不快なのか、どうしてあげたらいいのか困っていたら、娘が(飲む)のサインを出しました。
さっき飲ませたばかりだけど…と戸惑いながらも少し口に含ませると、満足したように寝付いたことがあり、まだ自分の要求を言葉で伝えられない赤ちゃんが意思を伝えてくれたことに、とても感動しました。赤ちゃんの要望を理解し、きちんと対応できることで、赤ちゃんがぐずることが少なくなり、私もイライラすることが減りました。
1歳半ごろになって言葉がじょうずに話せるようになってくると、だんだんとサインは出さなくなりましたが、日常の暮らしのなかで、黒くなってきたバナナを(きりん)、オレンジの断面を(花)と表すことがあり、子どもの目で見る世界をおすそ分けしてもらえる素敵な期間でした。要求や考えがわかることでこちらもイライラすることが減りました。