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「授乳・離乳の支援ガイド」が12年ぶりに改訂! どこが変わった?

この記事では12年ぶりに改訂された「授乳・離乳の支援ガイド」の改訂のポイントについて解説しています。たとえば、アレルゲンとなりうる食品の適切な摂取時期に関しては、遅らせる必要はない(卵の摂取は生後5〜6カ月からOK)ことや食物アレルギーを持つ子どもに対しては医師の診断に基づいた支援が必要であり、自己判断はしないことなどが新たに追加されています。

離乳食を食べる赤ちゃん

 

3月29日、「授乳・離乳の支援ガイド」が12年ぶりに改訂され、厚生労働省がその内容を公表しました。そこで今回は、「授乳・離乳の支援ガイド」とは? 改訂のポイントなどについてご紹介します。

 

「授乳・離乳の支援ガイド」って何?

「授乳・離乳の支援ガイド」は、妊婦さんや子どもに関わる医師・助産師・保健師・管理栄養士などの保健医療従事者が、基本的な事柄を共有し、一貫した支援を進めるために2007年に作成され、自治体や産院などの医療機関で活用されてきました。

 

そこから10年以上が経過し、科学的知見がたくさん集まり、子どもを産み育てる環境・働く状況が変化し、母子保健施策の充実など、授乳や離乳を取り巻く社会環境も変化しました。そこで厚生労働省は、支援ガイドの内容を検証し改訂するために、2018年11月に研究会を作り、検討を重ねてきました。そして、2019年3月、新たな「授乳・離乳の支援ガイド」の内容が公表されたのです。

 

改訂の主なポイントを解説!

今回の改訂では以下の4つがポイントとなっています。

 

1)授乳・離乳を取り巻く最新の科学的知見等を踏まえた適切な支援の充実
日本だけでなく、世界中でさまざまな分野に関する研究がおこなわれています。授乳や離乳に関する内容も同じです。前回、支援ガイドが公表されて以降、授乳や離乳に関する知見がたくさん集まり、科学的根拠に基づいた支援内容が充実しました。

 

たとえば今回の支援ガイドには、子どものアレルギー疾患予防に関して、母親の食事は特定の食品を極端に避けたり過剰に摂取する必要はないということや、母乳の利点などが明記されました。そして、先日販売が開始された「液体ミルク」も、コラムという形で特徴や使用上の注意点に触れています。

 

2)授乳開始から授乳リズムの確立時期の支援内容の充実
2005年度の乳幼児栄養調査の結果を見ると、「赤ちゃんが生まれたら母乳で育てたい」と希望する妊婦さんの割合は9割を超えており、前回公表された支援ガイドでも、母乳育児支援に関することがメインとなっていました。

 

今回改訂された支援ガイドでは、前回の支援ガイド同様「授乳の支援に当たっては、母乳や育児用ミルクといった乳汁の種類にかかわらず、母子の健康の維持とともに、健やかな母子・親子関係の形成を促し、育児に自信をもたせることを基本とする」との記載があり、妊娠期から母乳・育児用ミルク・混合に分かれて、授乳が確立・継続・離乳へ移行できるようにするための支援のポイントが記載されています。また、母乳で育つ赤ちゃんは生後6カ月の時点で鉄欠乏やビタミンD欠乏を起こしやすいということから、離乳食の開始時期や進み具合によって、鉄分やビタミンDを含む食品を積極的に摂ることの重要性も追加されました。

 

3)食物アレルギー予防に関する支援の充実
今回改訂された支援ガイドによると、食物アレルギーを持つ3歳児の割合は増加傾向にあり、アレルギーを持つ子どもは年齢が低いほど多いとしています。そのため、前回の支援ガイドでは、食物アレルギーに関して参考資料のみの提示でしたが、改訂された支援ガイドでは、食物アレルギーに関してきちんと項目が立てられ、具体的な内容が記載されています。

 

たとえば、アレルゲンとなりうる食品の適切な摂取時期に関しては、遅らせる必要はない(卵の摂取は生後5〜6カ月からOKになった)ことや食物アレルギーを持つ子どもに対しては医師の診断に基づいた支援が必要であり、自己判断はしないことなどが新たに追加されています。

 

4)妊娠期から授乳・離乳等に関する情報提供のあり方
「授乳・離乳の支援ガイド」が初めて作成されたころから今も変わらず子育てにまつわる悩みごとはさまざまあり、なかでも授乳や離乳食に関することが多くを占めています。しかし、今ではネットでさまざまな情報が簡単に得られる時代となりました。便利になった反面、情報が氾濫し、何が正しいのかわからず余計に不安になってしまったり、間違った情報を鵜呑みにしてしまうということもあります。妊娠・出産・育児に関わる専門家が正しい情報をきちんと伝えることはもちろんですが、子育て中の方々に対する絶え間ない支援も欠かせません。

 

前回の支援ガイドでも授乳支援の推進に向けての支援体制について触れていましたが、あまり具体的ではない印象がありました。しかし、今回改訂された支援ガイドでは、授乳及び離乳に関わる支援体制について、時期・提供される情報・支援内容・母子保健事業・相談・支援機関などの概要が参考資料として入っており、一貫した支援提供が期待されます。

 

 

「授乳・離乳の支援ガイド」の改訂に伴い、これまでの授乳や離乳食の進め方などの指導内容に変化が生じ、戸惑ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。そんなときは、「授乳・離乳の支援ガイド」が改訂されたことを知っていると、「あれ!?」って思ったときに、専門家に確認することができますね。今回の改訂を期に、より一層子どもを産み、育てている方々に寄り添った支援が充実するといいなと思います。


※参考:厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド

 

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