【医師監修】新生児低血糖とは?原因、症状、治療方法、後遺症について

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監修者

医師 松井 潔 先生

小児科 | 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長


愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医

 

■主な経歴

1986年 愛媛大学医学部卒業

1986-1988年 神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント

1988-1990年 同神経内科非常勤

1990-1992年 国立精神・神経センター小児神経科レジデント

1992-2005年 神奈川県立こども医療センター新生児科 医長

2005年− 同総合診療科 部長

 

■専門領域

小児科

小児神経

新生児

 

■所属学会・委員等

日本小児科学会

日本小児神経学会

日本周産期新生児医学会

日本てんかん学会

 

HP:神奈川県立こども医療センター

 

新生児低血糖イメージ

 

新生児低血糖は、赤ちゃんの血液中の糖分(ブドウ糖)が少なく、血糖値が低い状態をいいます。低血糖になると脳に深刻な影響を及ぼすことがあるため、適切な診断と治療が必要です。また、新生児低血糖は、ママの血糖値が高いなど母体の状態が原因で発症することもあるので、予防のためには妊娠中に血糖が高くないかを評価します。今回は新生児低血糖の原因・症状・後遺症のほかに治療法について解説します。

  • 【目次】
  • ・新生児は低血糖になりやすい?
  • ・新生児低血糖の原因・症状
  • ・新生児低血糖の治療方法
  • ・新生児低血糖による後遺症や診断後の生活について
  • ・新生児低血糖にならないために妊娠中に気をつけること
  • ・まとめ

 

 

新生児は低血糖になりやすい?

正常な赤ちゃんは生まれた直後(生後1~2時間)は血糖値が下がり、その後、徐々に上昇して生後2~3日で安定するのが一般的です。出生直後に、生理的な変化としてみられる血糖値の低下は、赤ちゃんが生まれたと同時に母体からのブドウ糖の供給がストップすることに関係しています。

 

赤ちゃんは、ママのおなかにいる間は胎盤を通じてブドウ糖などの栄養分をもらっていますが、出生後は栄養分の供給がなくなるので一時的な血糖値の低下(一過性の低血糖症)が起こりやすいのです。

 

一過性でなく、低血糖の状態が持続している場合や何度も低血糖を繰り返す場合、また、赤ちゃんの元気がないなど症状が現れている場合は注意が必要です。早期に適切な治療をおこなわないと新生児低血糖症になったり、脳に何らかの障害が残ったりする恐れもあります。

 

 

新生児低血糖の原因・症状

新生児低血糖は、母体の因子・新生児の因子などさまざまな原因が考えられます。また、新生児低血糖は症状があまり目立たないこともあり、血糖を測定してはじめて気づかれることもあります。さらに、ほかの病気の症状に似た症状が現れることもあるため、ほかの病気との区別(鑑別)も必要です。

 

新生児低血糖の原因

●エネルギーの需要が増え、ブドウ糖の消費が増える

体内のブドウ糖は肝臓でグリコーゲンに変えられ貯蔵されます。このグリコーゲンがさらに分解され、エネルギー源として働きます。

 

赤ちゃんが生まれてからは自分で呼吸し、体温を保つなど母体外生活に適応するためにエネルギーを消費します。生まれた際に新生児仮死や呼吸障害、低体温などがあると全身のエネルギー需要が増え、グリコーゲンがより多く必要となってしまいます。エネルギーの需要に対し、グリコーゲンの需要が間に合わなくなると低血糖に陥ってしまいます。低血糖になっても脂肪を分解したり、ケトン体を作れると症状がでないこともあります。脳はブドウ糖以外にケトン体もエネルギーとして使うことができるからです。

 

●肝臓でのグリコーゲンの貯蔵が少ない

早産児や多胎児、胎児発育不全の赤ちゃんは、正期産児に比べてからだが小さく、肝臓に蓄積されているグリコーゲンも少ない状態で生まれてきます。そのため、生まれてからの生理的な低血糖に対してグリコーゲンを分解して対応していくものの、すぐにグリコーゲンが枯渇して低血糖に陥ってしまいます。

 

●高インスリン血症

ママが糖尿病や妊娠糖尿病を合併していたり、切迫早産の治療で子宮収縮抑制剤を使用していたりすると、おなかの中の赤ちゃんは高血糖状態になります。すると、血糖値を下げようとインスリンの分泌が亢進した状態になります。赤ちゃんが生まれ、ママからの糖の供給が止まったあとも、インスリンの分泌が亢進した状態がつづくので、さらに血糖値が下がり、低血糖に陥ってしまいます。

 

●その他

上記に加え、Ⅰ型の糖尿病、ガラクトース血症、高インスリン血症などの先天代謝異常や内分泌疾患などでも低血糖に陥ることがあります。低血糖が持続したり低血糖が繰り返される場合は注意が必要になります。

 

新生児低血糖の症状

新生児低血糖では、次のような症状が現れることがあります。


・元気がない
・振戦(震え)
・無呼吸や多呼吸などの呼吸異常
・活気がない
・泣き声の異常(甲高い泣き方)

・けいれん
・頻脈
・多汗
・皮膚蒼白、チアノーゼなど顔色が悪い
・おっぱいやミルクの飲みが悪い

2018/11/02

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