【助産師監修】吸引分娩の費用や保険適用の条件について

8

 

吸引分娩は、出産時、異常事態が発生した際にお母さんと赤ちゃんの生命を守るためにおこなわれる急速遂娩という処置のうちのひとつです。急速遂娩の方法には吸引分娩のほかに、鉗子分娩や緊急帝王切開があります。

 

 

吸引分娩がおこなわれるケース

吸引分娩が必要になる異常事態とは、赤ちゃんが順調に母さんの身体から出てくることができず、赤ちゃんが低酸素状態に陥ってしまったり、お母さんの身体にかかる負担が大きくなり過ぎたりして、母子ともに生命にかかわる深刻な状態になってしまうことです。

 

すでに破水している、子宮口が全開になっているというような状態で、赤ちゃんの頭が吸引器具や鉗子が届く状態まで進んできていた場合には、吸引分娩がおこなわれます。赤ちゃんの頭が吸引器具や鉗子が届く状態まで進んでいない場合には帝王切開がおこなわれます。

 

吸引分娩をした場合、後遺症のリスクは?

吸引分娩をした場合のリスクには、赤ちゃんに起こるリスクとお母さんに起こるリスクがあります。

 

●赤ちゃんに起こるリスク

■頭血腫(ずけっしゅ)

頭血腫とは赤ちゃんの頭にできたプヨプヨした感触のこぶです。

赤ちゃんが産道を通る際にお母さんの身体から圧力がかかって骨膜の真下にある血管が切れて内出血を起こすことがあります。すると頭蓋骨と骨膜の間に血液が溜まってしまい、頭血腫ができてしまいます。

頭血種は、赤ちゃんの頭の形や大きさとお母さんの骨盤の大きさによって自然分娩でもできることがあり、吸引分娩をしたら必ずできるというこぶではありません。

ほとんどの場合、こぶの中に溜まっていた血液がじょじょに吸収され自然に治っていきますが、その過程でこぶが硬くなることや黄疸が起こることがあります。

どちらの症状も、こぶの中の血液が赤ちゃんの身体に吸収される際に起こる現象です。

 

■帽状腱膜下血腫(ぼうじょうけんまくかけっしゅ)

帽状腱膜というのは、頭蓋骨を帽子のように包んでいる膜のことです。

帽状腱膜下血腫は吸引分娩をした際に、この帽状腱膜と頭蓋骨の間に内出血が起こった場合に発生します。

頭皮が赤黒く変色し、頭蓋骨の継ぎ目を超えて広い範囲に腫れが拡がることもあります。頭血腫と違い、腫れが大きいので不安を感じると思いますが、検査の結果、脳内に異常がなければ、数か月で自然に治っていきます。

ただし、貧血やショック状態に陥る恐れもありますので、赤黒い頭皮の腫れが出た場合には、すぐに医師の診察を受ける必要があります。

出血が多くなった場合には播種性血管内血液凝固症候群(DIC)を引き起こすこともあります。DICは、「出血を止めるための血栓が大量にできる」ということと「血栓を溶かすための働きが強くなり過ぎ、出血が止まらなくなってしまう」という正反対の状態が起こるため、内臓に深刻なダメージを与えて死に至ることもある怖い病気です。

 

●お母さんに起こるリスク

■会陰・膣壁・頸管・尿道膀胱損傷

吸引のためにカップを膣内に挿入するので、会陰や膣壁が裂けてしまうことがあります。まれではありますが、頸管裂傷や尿道膀胱損傷が生じる恐れもあります。

 

 

 

 

吸引分娩にかかる費用

正常な分娩の場合にかかる費用は病院により異なりますが、全国平均では49万円程度です。

健康保険から給付される出産育児一時金を利用する場合は、42万円を差し引いた額になります。

 

帝王切開、無痛分娩などの特別な分娩方法をおこなった場合や時間外の分娩の場合には、その方法に応じて料金が特殊加算されます。

そして分娩時に急速遂娩として吸入分娩がおこなわれた場合も特殊加算されます。この費用は病院や分娩時の状況によって異なります。

 

 

 

吸引分娩が保険適用されるための条件

■健康保険

吸引分娩は医師がこのままでは母子ともに生命にかかわる危険があると判断した場合におこなわれます。

従って吸引分娩、および吸引分娩によって発生した会陰切開や縫合術、会陰裂創縫合術も、健康保険の給付対象として扱われます。

そのため、自己負担額は吸引分娩にかかる費用のうちの3割で済みます。

ただし、吸引分娩をおこなったが、結果的に正常分娩と医師が判断した場合には、吸引分娩の費用に対して健康保険は適用されません。

 

■民間の医療保険

民間の医療保険の中には、妊娠、出産、女性特有の病気に特化した女性保険という保険商品があります。

このような保険に加入していた場合、吸引分娩などの分娩時とトラブルが起きた場合に、給付金が支給されることがあります。

ただし、特殊分娩に関しては、妊娠してから加入した場合には保障されないなど細かな規約がありますので、加入するのであれば、妊活を始めた時期に加入しておくことをお勧めします。

 

妊娠中には不安な気持ちになりやすいため、情報過多になって、より不安になってしまう方もいらっしゃいますが、できるだけゆったりした気持ちで出産までの時期をお過ごしください。

 

 

 

監修者・著者

助産師 REIKO


医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。


2019/09/12


この記事にいいね!しよう

いいね!
8

現在ログインしていません。

はじめての方へ

赤ちゃんの笑顔でいっぱいの毎日を。『ベビーカレンダー』は、赤ちゃんが毎日を笑顔で過ごせるような情報をお届けする、妊娠・出産・育児の情報サイトです。日めくりカレンダーを毎日めくるように、『ベビーカレンダー』を、ぜひ毎日ご活用ください。

ベビーカレンダー監修者はこちら

  • 天神先生
  • 三石先生
  • 池谷先生
  • 小枝先生
  • 松井先生
  • 太田先生

あなたも質問してみませんか?

ご投稿いただいた質問に、頼れる専門家が回答いたします。気になる悩みや疑問をお寄せください。