【医師監修】子癇とは?発作への対応と影響
子癇(しかん)は妊娠20週以降に初めておこるけいれん発作です。今回は、子癇がお母さんと赤ちゃんにどのような影響を及ぼすのか、子癇の治療や出産について解説します。
- 【目次】
- ・子癇とは?
- ・子癇がお母さんと赤ちゃんに与える影響
- ・子癇の前兆
- ・子癇になったらどうすればいいのか
- ・子癇は予防できる?
- ・まとめ
子癇とは?
子癇は妊娠20週以降に初めておこるけいれん発作のうち、てんかんや脳出血などの脳血管障害を原因としないものを言います。妊娠中だけでなく出産時、出産後にも発症し、1万人のうち4人程度が発症します。
妊娠高血圧症候群との関連性が深く、血管の一番内側にある細胞(血管内皮)の障害が原因と考えられていますが、ハッキリとしたことはわかっていません。
子癇が発症するリスクが上がる要因としては、妊娠高血圧症候群以外に10代の妊娠、初産婦、多胎、極端な体重増加、以前の分娩で子癇を起こしたことがある、などがあり、当てはまる条件が多いほど発症のリスクも高くなります。妊娠以前から高血圧、糖尿病などの持病がある人は特に注意するようにしましょう。
子癇がお母さんと赤ちゃんに与える影響
子癇が重症化すると、脳出血、臓器不全を起こしやすくなるなど、お母さんの命にも関わることもあります。
また、子癇発作が起こると子宮や胎盤への血流が悪くなり、おなかの赤ちゃんの発育不良や早産のリスクが高くなります。命の危険を伴う状態(胎児機能不全)に陥ることもあるのです。
子癇の前兆症状
子癇を起こす方の多くは、妊娠中からもしくは出産時に血圧が上昇し、同時に尿蛋白や浮腫もみられます。妊婦健診の際に血圧測定や尿検査をするので、出産までに子癇のリスクである妊娠高血圧症候群は発見されているはずです。
子癇のけいれん発作が起こる前には、目のかすみやチカチカとした光が見えたり、みぞおちのあたりが痛くなったり、強い頭痛が続いたりといった症状が多くみられます。
子癇は予防できる?
子癇を起こさないようにするには、妊娠高血圧症候群にならないことです。
急激に体重が増えると血圧が高くなるので、体重管理が必要になります。過剰なカロリー摂取だけではなく、必要以上の塩分もとらないように食事には注意しましょう。
また、睡眠不足や疲労、ストレスも自立神経のバランスを崩すため、血圧が高くなる可能性があります。昼寝などで睡眠時間を確保して、疲れを残さないように心がけることも大切です。好きな音楽を聞くことや適度な運動、趣味をおこなえる時間をつくって、リラックスして楽しい時間を過ごすのもよいでしょう。
子癇になったら出産はどうなる?
子癇のリスクが高い方が出産する際は、その重症度に応じて、早めに入院して全身状態を整え、赤ちゃんの様子を観察する必要があります。入院中は安静や食事療法、お薬による血圧の管理のほか、子癇の予防のためのお薬を使い、出産時期はお母さんやおなかの赤ちゃんの状態をみて判断します。(※けいれんがおきたら一刻も早い医療機関の受診が必要です。すぐに救急車を呼びましょう。)
まとめ
子癇とは、妊娠20週以降に初めておこるけいれん発作です。母子ともに命の危険が生じる可能性があるので、緊急帝王切開になることもあります。妊娠中に妊娠高血圧症候群と指摘されたことがある方は、子癇を起こすリスクがあります。子癇が起きた場合は、お母さんと赤ちゃん共に危険を伴う可能性があるため、妊娠高血圧症候群にならないように注意しましょう。