【助産師監修】排卵日検査薬はいつから使える?(使い方とタイミング)
これから妊活を始めようと思っている方やすでに妊活中の方にとって、排卵日の特定は非常に重要です。そんなときに有効に使いたいのが、排卵日検査薬(排卵日予測検査薬 一般用黄体形成ホルモンキット)です。今回は排卵日検査薬について詳しく解説します。
排卵の仕組み
月経周期は、平均的に25~38日、変動が6日以内です。この月経と次の月経の間に一度起こるのが「排卵」です。排卵とは、卵巣にある成熟した卵胞から卵子が排出される状態を言います。
月経と排卵には複数のホルモンが関係しますが、なかでも重要な役割を果たすのが「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と「エストロゲン(卵胞ホルモン)」です。卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が増えると、卵胞が発育していきます。それと同時に、エストロゲンが分泌され、子宮内膜が厚くなり、受精卵を迎える準備がスタートします。
そして、卵巣の中で卵胞が18~20mm程度に育つと、脳から黄体形成ホルモン(LH)が大量に分泌され(LHサージ)、だいたい40〜48時間以内に卵胞の壁が破れ、排卵が起こります。
排卵後、卵子を排出した卵胞は「黄体」に変化し、子宮内膜を着床に適した状態にするためプロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。しかし、受精しなかった場合、排卵からおよそ14日ほどで黄体は「白体」に変化し、子宮内膜を維持してきたホルモンも減少していきます。
そして、不要になった子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに体外へ排出されます。これを「月経」と言います。
【Point】
・月経周期は平均的に25~38日、変動が6日以内
・排卵が起こった前後5日間は、排卵期と呼ばれており、妊娠しやすい時期
・受精しなかった場合、不要になった子宮内膜が剥がれ落ち、排出される(生理)
排卵日検査薬(排卵日予測検査薬)とは?
排卵日検査薬とは排卵時期を調べるための検査キットで、LH(黄体形成ホルモン)に反応します。尿に含まれるLHの量によって、排卵が近いかどうか判定がなされます。
排卵日検査薬には海外製と日本製の2つのタイプがあります。海外製の特徴は「感度の高さ」です。LHが20mIU/mLになった時点で反応が出るタイプもあり、日本の排卵日検査薬より早い段階でLHの上昇を感知します。ただし、早期判定ができるものは、陽性の線の出方が薄く、判断がしづらいことやLHが元々多く出ている方は判定しづらいといったデメリットもあります。
日本製の特徴は「確実さ」です。日本製の排卵日検査薬の多くは、尿中のLHの変化を捉えて、最も妊娠しやすい時期である排卵日を約1日前に予測できる検査薬です。海外製より感度は下がりますが、日本製の排卵日検査薬で陽性反応が出れば、翌日がほぼ確実に排卵日であることがわかります。
【Point】
・排卵日検査薬は、尿中のLH(黄体形成ホルモン)に反応する
・排卵日検査薬には海外製と日本製がある
日本製の特徴:「確実さ」翌日がほぼ排卵日であることがわかる
海外製の特徴:「感度の高さ」日本の排卵日検査薬より早い段階でLHを感知する
排卵日検査薬はどこで買える? 価格は?
排卵日検査薬は第一類医薬品に分類されており、薬剤師のいる薬局・ドラッグストアのみでの取扱いとなります。薬剤師から使い方や注意点などの説明を受けたあとに購入することができます。自宅から手軽にインターネット経由で購入するという方法もありますが、薬剤師が販売・説明ができるサイトに限られており、自分でしっかりと注意事項について理解して、正しい手順で使わなくてはなりません。
価格は、使う回数やメーカーによって異なります。日本製のものであれば、12回ほど使うことができるもので4,000円前後、7回分使うことができるもので3,000円前後が相場になります。海外製のものは、30回分使うことができるもので3,000円前後、60回分使うことができるもので4,000円前後が相場になっています。
不妊治療を専門の病院でおこなっている場合には、治療内容によって病院側から排卵日検査薬を渡される場合もあります。病院で使う検査薬は、市販されているものよりもより精度が高めに設計されています。
【Point】
・排卵日検査薬は第一類医薬品となり、薬剤師のいる薬局・ドラッグストアでのみ取扱いがある
・薬剤師から使い方や注意点などの説明を受けたあとに購入することができる
・インターネットでの購入も可能(※薬剤師が販売・説明ができるサイトに限る)
・価格は3,000円前後~4,000円前後
・不妊治療の内容によっては、病院から排卵日検査薬を渡される場合もある
排卵日検査薬を使うタイミング
排卵日検査薬を使う目的は、排卵が起こる前に排卵日を知ることです。そのため、排卵が起きる数日前から検査薬を使っていくのが基本となります。正しいタイミングで検査薬を使っていくためには、自分の月経周期を知りましょう。
月経周期を把握する上で、最もわかりやすいのは、基礎体温を測ることです。一般的に、女性の体は月経周期のなかで低温相と高温相を繰り返しており、低温期から高温期に切り替わるタイミングで排卵が起きます。基礎体温表をつけることで、自分でもそろそろ排卵が起きそうだという予測がしやすくなるでしょう。
基礎体温表に加えて、排卵日検査薬を取り扱っている大手メーカーの公式webサイトでも、月経周期などを入力することによって、検査薬を使うタイミングが予想できます。
【Point】
・排卵日検査薬は、排卵が起きる数日前から使っていくのが基本
・タイミングよく検査薬を使用するには、基礎体温を測り月経周期を把握しているとよい
排卵日検査薬の使い方と使うとの注意点
排卵日検査薬は、1回分ごとに袋から出し、使用手順書に従って採尿部分に直接尿をかけて判定を待ちましょう。判定までにかかる時間は数分ほどです。直接尿をかけることが難しいという場合は、尿を清潔な紙コップなどにとって、スティックの採尿部分を浸すという方法でもかまいません。不安な場合は、検査前に薬剤師などにしっかりと確認しましょう。
正しく排卵日検査薬を使うためには、毎日同じ時間帯に検査をおこないましょう。朝、あるいは夕方など、自分が毎日検査できる時間帯を選びましょう。尿に含まれるLHの量を正しく検査するためには、ある程度の尿が必要となります。尿量が足りていない場合には、検査が正しくおこなわれません。市販されている検査薬には尿量確認ラインがついているものも多くあります。尿の量が足りていない場合には確認ラインが空白になりますので、しっかりと尿をためた状態で新しい排卵日検査薬で再検査しましょう。
そして、判定までにかかる時間はしっかりと待ちましょう。すぐに判定窓に線などが現れないから陰性などと自己判断せずに、5分なら5分と決められた時間を守りましょう。待っているうちに、判定窓の結果が変わることもあります。判定窓に何も表示されないときや線などが薄いときには、翌日また同じ時間に再検査をおこないましょう。
【Point】
・毎日同じ時間帯に検査をおこなう
・尿に含まれるLHの量を正しく検査するためには、ある程度の尿が必要となる
・判定までにかかる時間はしっかりと待つ
排卵日が予測できないケースとは
陽性が続く、あるいは陰性が続くなどというように、排卵日が予測できないケースもあります。LHは普段からも少量分泌されており、その量には個人差があります。普段から分泌量が多い人の場合は、排卵日でなくても陽性判定が出てしまう場合もあります。
何日も検査を繰り返しても陽性にならない場合は、すでに排卵日を過ぎてしまった、あるいはLHサージの上昇期間が短く検知できなかったなどの理由が挙げられます。
排卵日が予測できない場合は、基礎体温も併せて確認しましょう。低温相と高温相がはっきりしないのであれば、排卵自体が起こっていない場合もありますので、産婦人科に相談することをおすすめします。
【Point】
・LHは普段からも少量分泌されているため、普段から分泌量が多い人の場合は、排卵日でなくても陽性判定が出てしまう場合もある
・陰性が続く場合は、すでに排卵日を過ぎてしまった、あるいはLHサージの上昇期間が短く検知できなかったなどの理由がある
・基礎体温と併せて確認し、低温相と高温相がはっきりしないのであれば、排卵自体が起こっていない場合もあるため、その場合は産婦人科に相談する
検査結果が陽性になったらどうすればいい?
検査結果が陽性になった場合は、妊娠を望むのであればなるべく早く性交を持ちましょう。一般的に、初めて陽性反応が出たときから約40〜48時間以内に排卵が起こる可能性が高いと予測されます。
特に、初日からはっきりと陽性が出た場合には、すでに排卵が始まっている可能性もありますので、できるだけ早くタイミングを持つほうがよいでしょう。正しい陽性結果であったことを確認するためにも、陰性に変わるまで検査は続けましょう。
排卵日検査薬は、妊娠しやすい日を知るために活用するものです。裏を返せば、妊娠しやすいタイミングを知って、そこを避けるという使い方もできるということになりますが、性交をおこなう以上、妊娠する可能性はゼロではありません。
排卵周期の乱れや個人の状態によって正しい結果が得られない場合もあります。そもそも、避妊目的で開発されていない排卵日検査薬の結果だけを鵜呑みにしてしまうのはあまりにも危険ですので、避妊目的で使うことはやめましょう。妊娠を望まない場合には、性交には慎重になるべきでしょう。
【Point】
・陽性の場合は日を空けずに早く性交を持つ
・避妊目的で開発されていないので避妊目的で使うことはやめる
まとめ
排卵日検査薬は尿に含まれるLH(黄体形成ホルモン)の量によって、排卵が近いかどうか判断するものです。あくまで排卵日検査薬は、妊娠のための補助的な検査薬でしかありません。基礎体温の管理をおこないつつ排卵日検査薬を用い、かつ、何か心配なことや不安なことがあるときには、早めに婦人科を受診するようにしましょう。また、排卵日検査薬は、妊娠しやすい日を知るために活用するものですが、避妊目的で使うことはやめましょう。