【助産師監修】妊娠時の基礎体温はどう変化する？基礎体温の正しい測り方と見方

 

月経周期や妊娠しやすい時期の把握など、女性の体のリズムを知るうえで役立つのが基礎体温です。今回は基礎体温について解説します。

 

 

基礎体温は、体を維持するために呼吸などの最低限必要な活動をしているときの体温のことを言います。つまり、これは運動などの活動をせず、横になって休んでいる状態の体温とも言えます。

 

女性の基礎体温は、月経周期や妊娠など女性ホルモンの変動によって基礎体温が変化することがわかっています。そのため、自分の基礎体温のリズムを知ることは、月経周期だけでなく排卵日や妊娠の有無などを知る目安として役立つものです。

 

 

 

基礎体温を測定する際には、基礎体温測定専用の婦人体温計を使用します。風邪をひいたときなどに使用する一般的な体温計が10分の1の位まで計測するのに対し、婦人体温計は100分の1の位まで計測できます。

 

基礎体温の変化は、0.3～0.5度程度であるため、毎日決まった条件で計測しないと正確に測ることができません。なお、婦人体温計には水銀式と電子式があります。

※水銀を使った体温計・血圧計は、2020年までに使用を中止するように世界保健機関（WHO）が指針を発表しています。
 
≪基礎体温の具体的な計測方法≫
1.朝起きたら、婦人体温計を手に取りましょう。起き上がったりすることのないように、寝る前にベッドの近くに置いておくのがおすすめです。
2.婦人体温計を、舌の下の中央に置いて、口を閉じます。水銀式の場合は5分程度、電子式の場合はピピッという電子音が鳴るまで待ちましょう。機種にもよりますが、およそ1～3分程度です。
3.婦人体温計の計測値を確認したら、忘れないうちに基礎体温表グラフに記録します。
 
最近ではスマホアプリと連動するタイプの婦人体温計もありますが、医療機関などに持参するには紙のグラフのほうが診察の際に確認しやすく、良いとされています。より正確な診断をするために、基礎体温の計測は少なくとも2～3カ月おこなうことが望ましいといえるでしょう。

 

 

 

正常な基礎体温グラフでは、排卵日を境に基礎体温が低温相から高温相へ変化し、二相になります。

 

正常な基礎体温グラフは、高温相の持続が10日以上、高温相と低温相の差が0.3℃以上、高温相に陥落がない、低温相から高温相への移行が3日以内となっています。

 

 

 

妊娠のサインの1つとして月経が止まるということがありますが、月経が止まっているからといって必ずしも妊娠しているとは限りません。

 

妊娠しているかどうかを知るには、基礎体温の変化を見る方が信頼できます。通常、妊娠していないときの基礎体温グラフは、月経後に高温相から再び低温相に戻ります。しかし、妊娠している場合では基礎体温のグラフは高温相が続きます。

 

一般的には、基礎体温で高温相が17日以上以上続く場合は、妊娠の可能性があると考えられます。この時期は、妊娠の簡易検査もおこなえる時期なので、妊娠の心当たりがある人はチェックしてみてもよいでしょう。なお、実際に妊娠しているかどうかの確定診断は、最終月経日から数えて5～6週目目ごろに、医療機関で胎児心拍が確認されてからになります。

 

 

次のような基礎体温グラフの場合、早めに診察を受けましょう。
 
【高温相が不安定なラインを描く】
黄体機能不全は、排卵後に増える黄体ホルモンがきちんと分泌されていない状態を言います。生理前に食欲がアップしたり、体がむくみやすくなったりするのは、黄体ホルモンにより妊娠の準備がされているためです。一方、黄体機能不全になると、黄体ホルモンの分泌が減るため、子宮内膜が厚くなりません。子宮内膜が薄いままでは受精卵が着床しづらくなるため、黄体機能不全は不妊・不育の原因にもなります。

黄体機能不全の場合、基礎体温グラフは二相性ですが、高温相が10日以内で、途中でM字のようにガクンと下がったりするなど、高温相が不安定なラインを描くようになります。また高温相と低温相の差が0.3℃以内です。
 
【基礎体温が二相にならずに、低温相のまま】
月経が訪れているものの、月経の継続日数に大きな差があったり極端に月経血が少なかったりする場合は、無排卵周期症（無排卵月経）の可能性があります。無排卵周期症（無排卵月経）は名前の通り排卵をともなわない月経なので、妊娠を期待することはできません。

無排卵周期症（無排卵月経）の基礎体温グラフでは、基礎体温が二相にならずに、低温相のままであるパターンがよくみられます。

 

 

 

基礎体温を測ることは、月経周期を知るだけでなく、妊娠の有無や妊娠しやすい時期を知る目安としても役立つものです。わずかな温度差を計る基礎体温は誤差も生じやすいので、毎日決まった条件で測ることが大切になります。自分の体のリズムを知りたい女性や、計画的な妊娠を希望されている女性は、基礎体温を計測してみるとよいでしょう。