無排卵月経(無排卵周期症)の原因とは?【医師監修】

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監修者

医師 福岡 正恒 先生

産婦人科 | 産科婦人科福岡医院院長


京都大学医学部卒。同大学院修了後、京都大学助手、講師を経て、平成11年より産科婦人科福岡医院院長。京都大学在職中は、婦人科病棟や産科病棟などを担当。またこの間、英国エジンバラ大学・生殖生物学研究所に留学。日本産科婦人科学会・産婦人科専門医,京都大学医学博士

 

■主な経歴

京都教育大学附属京都小学校,洛星中学校・高等学校,京都大学医学部 卒業
京都大学医学部附属病院にて研修後、市立伊勢総合病院・京都桂病院での勤務(医員)を経て、京都大学大学院医学研究科へ進学。
生殖内分泌学の研究や不妊治療に従事。

昭和63年 医学博士となる。

平成4年 京都大学医学部助手となり、婦人科病棟医長として子宮筋腫や子宮ガン等の診療に従事

平成 6~7年 英国スコットランドのエジンバラ大学生殖生物学研究所に留学、帰国後は、産科病棟副医長として周産期診療に従事
平成10年 京都大学大学院医学研究科 講師
平成11年 産科婦人科 福岡医院 開院

 

■専門領域

日本産科婦人科学会 専門医
母体保護法 指定医

 

■HP:産科婦人科福岡医院

 

 

排卵のあと妊娠が成立しなかった場合は月経が起こりますが、月経周期が規則的ではなかったり、出血が多かったりなどの症状に悩まされている方も少なくありません。その場合はもしかしたら「無排卵月経(無排卵周期症)」かもしれません。今回は、無排卵月経について解説したいと思います。

 

 

正常な月経周期について

自分の月経周期を把握するときは、生理が始まった日から次の生理が始まる前日までの日数を数えてみましょう。正常な月経周期とは、この日数が25~38日の範囲にある場合とされています。

 

 

正常な月経周期の変動

正常な月経周期において、卵巣では卵胞期→排卵期→黄体期と呼ばれる形態の変化が起こります。それに伴い、ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌パターンが変化するため、子宮内膜はその影響を受けて、増殖期→分泌期→月経期へと周期的に変化します。

こうしたホルモンの周期的変化は子宮のみならず、乳腺など体の他の組織の機能や全身の代謝、精神状態などにも影響を与えます。

 

●増殖期(卵胞期)
卵巣の中にある卵胞が成長して大きくなっていくとともに、卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌され、そのエストロゲンの刺激で子宮内膜が増殖して厚くなっていく時期です。
 ↓
排卵(卵胞が破れて卵子が外に押し出される現象)がおこります。
 ↓
●分泌期(黄体期)
排卵後の卵胞は黄体と呼ばれる組織に変わり、主に黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。プロゲステロンは子宮内膜を着床に適した状態にしていきます。
 ↓
●月経期(黄体~卵胞期)
受精が起こらなかった場合、あるいは受精が起こっても受精卵が子宮に着床しなかった場合、黄体は退縮して白体になり、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少します。すると子宮内膜が剥がれ排出されます。これが月経です。月経は、排卵が起こってから約14日で起こります。卵胞期の長さはさまざまであっても、排卵から月経までの日数はほぼ一定です。
そして、ふたたびエストロゲンの分泌が増えてくると子宮内膜が再生し、出血が止まります。
 ↓
●増殖期へ・・・

 

 

無排卵月経(無排卵周期症)とは?

無排卵周期症は、無排卵月経ともよばれています。正常な月経周期では、排卵が起こり、妊娠が成立しなかった場合、月経となります。これに対し、無排卵月経では、排卵が起きていないのに、月経のような出血がみられることが特徴です。

 

正常な基礎体温のパターンは、月経周期前半の低温相と後半(排卵後)の高温相に分かれる「二相性」ですが、無排卵月経の場合、低温期だけの「一相性」となります。

無排卵周期症においては、月経周期の長さが一定ではないことが多く、月経期間(日数)も短かったり長かったりしますが、正常な月経と区別できない場合もあります。
また、無排卵月経は不妊の原因にもなります。

 

 

無排卵月経(無排卵周期症)の原因は?

正常な月経周期では、脳(視床下部・下垂体)から分泌されるホルモンが卵巣に働きかけ、卵胞を発育させ、排卵させます。

一方、無排卵月経の場合は、脳から分泌されるホルモンがうまく分泌されないため、卵胞が十分には育たず、排卵が起こりません。排卵が起こらないと、排卵後に増加するプロゲステロンの分泌が欠如するため、子宮内膜が維持できず、剥がれ落ちてしまいます。
ただし、無排卵月経の場合は、排卵は起こらないものの卵胞は発育してエストロゲンが分泌されるため、その程度に応じて子宮内膜は厚くなり、その剥離による出血がみられます。

 

これに対し、エストロゲンの分泌がより悪くなった場合には子宮内膜は薄いままで、したがって月経も起こらない「無月経」という状態になります。
脳からのホルモンがうまく分泌されない原因はさまざまあり、ストレス、体重の変化、内分泌疾患、加齢などがあります。

 

 

無排卵月経(無排卵周期症)の症状は?

無排卵月経の主な症状は月経不順、不正出血、不妊です。

月経不順は、そのパターンにより以下のように分類されます。

 

 ・頻発月経: 24日以内で月経が来る 
 ・希発月経: 39日以上3カ月未満で月経が来る

 ・過多月経: 出血量が異常に多い
 ・過少月経: 出血量が異常に少ない

 ・過長月経: 出血日数が8日以上
 ・過短月経: 出血日数が2日以内
 
不正出血については、いろいろなパターンでの出血が起こりえます。ただし、ここで気をつけないといけないのは、長期にわたり無排卵周期が続く場合、黄体ホルモン分泌を伴わないエストロゲン単独分泌が持続することにより、子宮内膜増殖症や子宮内膜がんが発症する可能性があるということです。
とくに更年期において不正出血がみられた場合、無排卵月経と子宮内膜の腫瘍との鑑別診断は大切です。


いずれにしても、不正出血があった場合、自分で無排卵月経と決めつけずに、診察を受けるようにしましょう。

ちなみに無排卵月経の人が、無排卵であることを自覚することはあまりありませんが、元々黄体期(月経前)特有の症状(眠気や食欲の増加、精神的不安定など)が強かった人は、そうした症状がなくなっていることに気づくかもしれません。

 

 

無排卵月経(無排卵周期症)の治療法は?

無排卵月経の治療は、年齢や妊娠の希望があるかどうかによって異なります。

 

●妊娠の希望がある場合
排卵誘発剤を内服または注射し、排卵を促します。無排卵月経の場合は無月経の場合と比較して、内服薬など比較的マイルドな排卵誘発剤で排卵が起こりやすい傾向にありますが、排卵誘発の副作用として、多胎(双子以上)妊娠やOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を発症する可能性があります。
 
●妊娠の希望がない場合
無排卵月経は、卵巣機能が未熟な思春期、卵巣機能が低下しつつある更年期には頻繁にみとめられる現象です。妊娠・出産が可能な性成熟期(20代~40代前半)でも妊娠の希望がない場合、経過観察とする場合も多く、月経不順などで日常生活に支障をきたしている場合に治療の対象となります。その際にはホルモン療法やピルの内服がおこなわれます。

 

●漢方薬などによる体質改善
漢方薬は、生薬の組み合わせであり、種類は数えきれないほどあります。それだけ症状や体質にあった漢方薬が処方されます。最近では漢方外来がある病院も増えており、漢方の専門知識を持った医師が治療をおこなってくれます。

 

 

まとめ

妊娠可能な時期にあり、妊娠を希望している女性が無排卵月経では、妊娠することができません。妊娠を望んでいる場合は、パートナーや医師と相談したうえで、自分に合った治療法を見つけていきましょう。妊娠を望んでいない場合でも、子宮や卵巣機能に何らかの異常がある可能性があるため、早めに受診することをおすすめします。

 

参考:

・メディックメディア 「病気が見えるVol.9 婦人科・乳腺外科」

 

 

 

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2017/11/16


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