結核に感染しながら妊娠した場合、どうなるの?
結核に感染していることが判明し、抗結核剤「イスコチン」が処方されました。主治医の先生から、「妊娠していた場合には、薬を増やすことになります。結核に感染している妊婦さんは多くいますが、これから妊娠を希望しているなら、妊娠は控えたほうが良いでしょう」と言われています。結核に感染していることを知りながら、妊娠するのは良くないことでしょうか? もし、気づかずに妊娠していた場合、妊娠中に何か対処ができるのでしょうか?
肺結核は、咳、くしゃみと共に排出される結核菌を吸い込むことによって、感染します。主な症状には、咳、微熱、全身倦怠感、体重減少などがありますが、症状がない場合も多いです。症状は、妊娠に見られる生理的な変化と似ているため、妊娠中は診断が遅れやすいです。妊娠前に喀痰検査による排菌が陽性なら、陰性になるまで妊娠を避けることが望ましいです。活動型の肺結核では、早産、子宮内胎児発育遅延、低出産体重児の増加が報告されていますし、結核感染妊婦は隔離され、専門施設で分娩することになります。また、先天性結核は非常に稀ですが、胎盤を介しての胎児感染、分娩時の接触感染が生じる場合があり、産褥期に母体が排菌していると、胎児への水平感染が生じます。結核治療中に妊娠した場合は、多剤併用療法としてイソニアジド(イスコチン)、リファンピシン(リファジン)、エタンブトール(エブトール)を用います。治療には、服薬だけでなく、栄養摂取、安静、休養も大切です。適切な治療がおこなわれれば、一般的に母子の予後は良好で、産後の授乳も問題ありません。妊娠中の結核管理も重要ですが、産褥期に急に悪化することもあるので、十分な管理がおこなわれる施設で経過を診ていただくことが必要です。