初めましての日に遅刻
友人に紹介してもらった彼とは、しばらくメールでやり取りをしていました。共通の趣味もあり、実際に会いましょうとなるまでに、そんなに時間はかからなかったと思います。
初めて会うことになった日は、会社帰りに駅で待ち合わせることに。彼から事前にきていた「先に駅に着いて、わかりやすいように改札で待ってるね」というメッセージに、「とても紳士的だな」と感じてうれしかったです。
しかし、駅についてもそれらしき人は見当たりません。しばらく待っていると「ごめん、自転車を置きに行っていたら遅れた」と言いながら彼が現れたのです。正直、あの「先に到着しているようにするね」は何だったんだろうと思いましたが、話してみると博識で向上心の高い彼には尊敬の念が芽生えるほどで、とても好印象でした。そしてその日は楽しく食事をして別れました。
許せなかった大遅刻
それから何度か食事に行ったり、出かけたりしましたが彼は毎回待ち合わせには少し遅れて登場。度重なる彼の遅刻は気になっていたものの、彼に惹かれていたこと、一緒に過ごす時間は楽しかったのであまり気にしないようにしていました。
しかし、何度目かの食事の約束の際に、何の連絡もなく彼は1時間を超える大遅刻をしたのです。連絡をしても返信がなく、何かあったのかなと心配しながら待っていましたがどうしようもありません。1時間待ち、「もうこないだろう」と帰路につくため電車に乗ったところ、彼から「今どこ?」とメールが届きました。
電車に乗って帰る途中だと告げましたが、彼からは謝罪もなく「待ち合わせ場所に着いたけど、今日どうする?」との返信が。なんだか、1時間以上待ち続けた自分が馬鹿らしくて情けなく感じてしまいました。これをきっかけに、私は彼とはもう会わない決心をしたのです。
今思えば…
今思えば、彼の中で私は優先順位が低い存在だったのだと思います。誰にだって仕事で抜けられない、交通機関の遅延など、どうしても遅刻してしまうときはあります。しかし、毎回のように遅刻してくるのは、彼にとって私は遅刻をしても良い存在。軽んじられているとしか思えませんでした。
毎回、仕事が忙しいのかなと自分を納得させていましたが、待っている時間は不安で虚しいもの。もっと早くに自分の心の引っ掛かりと向き合えば、こんなに心がすり減ることもなかったと、今振り返ると思います。
自分のことを雑に扱う人といることは、自分自身を大切にしていないことにつながると学びました。気にしないようにしていたとはいえ、彼と会っていた数カ月は心は疲弊していたようにも思います。
この経験から、人に嫌われることや縁が切れることよりも「自分を大切にする」ことを優先しようと意識するようになりました。腹立たしく悲しい思い出ですが、この経験のおかげでやさしい夫と出会えたと思っています。
著者/大岡むぎ
イラスト/マメ美
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