(写真)こどももおとなも参加した自転車についてのプロジェクトが駅の地下通路の壁面に。
レッジョと言えばの「町ぐるみ」とはなんぞや?
町ぐるみの幼児教育が実現されている町。その一番の理由はなんといっても、「市の年間予算の16%もの額が幼児教育にあてられている」ということが大きいと思います。ちなみにイタリアの他の州では、0.03%のところもあるということなので、凄まじい数字です。
こどもが“いち市民”として尊重され歓迎されている町
こどものことを語るとき、わたしたちはよく「未来」という言葉を使いがち。 けれど、こどもは決して未来を担う“未来の人”ではなく、今を生きる““いち市民”!幼児教育へ投資することを文化のための投資と考え、町を活性化してくれる大切な存在として、こどもたちを尊重しています。 たとえば、劇場の緞帳のデザインや病院の内装をこどもたちが意見を出し合い考え、実際にカタチにするプロジェクトなど、市と連動した取り組みも。こどもたちの柔らか〜い発想は、町に新鮮な驚きや楽しさをもたらしてくれます!
教育者たちのバックアップ体制も町ぐるみ
(写真)元小学校の建物をリノベーションしたレミダ(クリエイティブ・リユース・センター)。
ローリスマラグッツィ国際センター内にはレッジョの歴史から現在を学べる展示コーナーのほかに、現場で実践されたプロジェクトについての展示やアトリエ、過去に各園で行った学びの記録=ドキュメンテーションを全て保管する部屋なども。 また、町の中にもこどもに関する教育関係の施設、たとえば日々の保育の中で使うことができる素材(市内の企業から収集した廃材!)を研究・保管・提供する機関「レミダ」なども存在します。
教育者が「ネタ収集」したり、アドバイスを受けられる体制を市が整える。対話やシェアの機会も多く、わくわく好奇心をもってこどもと接し、一緒に探求し、おとなたちも日々成長を感じられる。これってものすごく重要なことだと思うのです。 次回はレッジョ教育のもう一つのウワサ「アート教育」についてお話しします。
「こども」をめぐり国内外を “隙あらば旅” するフィールドワーカー。一児の母。2012年の出産を機に「こども」の世界にシフト。レッジョ・エミリアやポートランド、ベルリンの教育機関や施設・公園・プロジェクト等を体験視察。かれこれ約15年、チンドン屋としても活動。こどもとともに町をにぎやかすパレード型ワークショップもおこなう。