「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。その中から特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、GBSが陽性だった妊婦さんからのご相談です。
Q.4人目で初めてGBS陽性と言われました
現在、妊娠35週の妊婦です。今日の健診で、GBS陽性と出ました。4人目の妊娠で初めて陽性と言われました。赤ちゃんに影響はあるのでしょうか? 初めてのことで不安しかありません。
高塚あきこ助産師からの回答
GBSは、B群溶血性連鎖球菌という常在菌が検出されると、陽性として診断されます。常在菌ですので、特にお産の前には治療はおこなわないことが一般的です。
ですが、ママにとっては常在菌であっても、産道を通過する際に赤ちゃんに産道感染する可能性があります。お産の際には、お産の進み具合を見ながら、断続的に飲み薬や点滴で抗生物質による治療をおこないます。
ご不安もおありかと思いますが、かかりつけの産婦人科の医師や助産師に、よく説明を受けてみてくださいね。
※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー
※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください
GBS(B群溶血性レンサ球菌)とは?
GBSはGroup B Streptococcusの頭文字をとったもので、B群溶血性レンサ球菌のことをいいます。 誰でも保有している可能性がある常在菌の1つで、消化管、膀胱、腟などにいます。
妊娠する年代の女性を調べてみると10%から30%でGBSが検出されます。通常妊婦さんや赤ちゃんの体に存在(保菌)しても特に健康状態を侵すような菌ではありません。しかし、非常に稀に(500回から1500回に1回くらいの頻度で)生まれた赤ちゃんに感染症を起こすことが報告されています。
GBS感染症により赤ちゃんが敗血症や髄膜炎を引き起こし、治療が必要になることがあります。発症すると急速に悪化しやすいことから、現在ではすべての妊婦さんに対してGBS検査をおこなうことが推奨されています。
赤ちゃんへの影響は?
赤ちゃんのGBS感染症は、お産で赤ちゃんが産道を通過するときに、お母さんの産道付近にいるGBSが赤ちゃんに付着し、鼻や口、喉から体内へ移行して発生すると考えらえています。肺炎や敗血症(血液中にGBSが入り、全身を巡って症状を起こす)、髄膜炎(髄膜に感染して脳炎を起こす)を発症します。
GBS感染症の診断は、発症初期には非常に難しいのが現状です。他の感染症と比べてGBSに特有の症状というものはありません。発症初期にみられる症状としては発熱、呼吸困難や、呼吸回数の異常、嘔吐する、ミルクを飲む力の低下、けいれんなどの症状もありますが、その一方でなんとなく元気がないというだけだったり、はっきりした症状がない場合もあります。しかし発症してからは症状の進行が速いので検査によってGBS感染症が疑われた場合は直ちに治療が必要です。
赤ちゃんに起こるGBS感染症には、早発型と遅発型があります。生後6日までに発症するものを「早発型」と呼び、それ以降に発症するものは「遅発型」とされます。早発型は分娩時の感染によるもので、遅発型は分娩時による感染だけでなく赤ちゃんに関わる周囲の人間から感染する水平感染と考えられています。早発型のGBS感染症は、4分の1が早産の赤ちゃんに起こります。
GBS陽性と判定されたら?
検査の結果、GBS陽性と判定されたら、陣痛が開始したときか破水が起きたときに、赤ちゃんへの感染予防のため抗生物質の投与(内服または点滴)をおこないます。それ以前のタイミングで抗生物質を使っても、常在菌であるGBSは出産までの間に再び産道に出現してくる可能性があるため、最も有効な感染を予防できるタイミングがこのお産の前の時期であると現時点では考えられています。
検査の結果がGBS陰性でも前回出産した赤ちゃんがGBS感染症だったケースやGBSの保菌状態が不明(例:検査結果がまだ明らかでない、検査していない)の状態で、破水後18時間以上経過したとき、あるいはお母さんが38℃以上に発熱したときには、感染予防のため抗生物質を使います。
GBS感染症は抗生物質で有効に予防できるため、感染の症状がなければGBS陽性であることだけを理由に帝王切開術はされません。帝王切開術を受けて出産する妊婦さんには、通常予防的に抗生物質が使われるので感染予防の対応は不要です。抗生物質はペニシリン系が使用されます。この抗菌薬は、分娩を終えるまで4時間毎に繰り返します。ペニシリン系の薬剤にアレルギーがある妊婦さんへは、別の抗菌薬が投与されます。
※参考:基礎知識(妊娠中)「GBS検査ってお母さんや赤ちゃんに影響するの?」【監修者:あんずクリニック産婦人科院長 川島正久先生】
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