その場から離れられない仕事
新卒で入社した会社で任された仕事は受付業務でした。来社されるお客様をブースへご案内、お茶出し、来客がない時間は受付のデスクで事務仕事をしていました。
受付は私ひとりのため、何か特別な理由がない限りその場から離れることはできません。来客の予定がない時間帯はトイレへ行くなど、一瞬だけ席を外すこともできますが、来客の予定が重なるときは、一瞬たりともその場から離れることができませんでした。
グレーのスカートが血で染まる
その日、来客が重なり、入社以来初めての忙しさに追われていました。やっと最後のお客様をブースへご案内し、自分の席へ戻ると衝撃の光景が目に入りました。なんと、私が座っていた青色の椅子に明らかに血だとわかる大きなシミがあったのです。
私は急いでトイレへ。トイレの鏡でおしりを確認すると、灰色のスカートが経血で汚れていたのです。自分の握りこぶしほどもある大きさのシミでした。
当時は、自分の生理周期をあまり気にしていなかったので、おりものシートに血が少しついていたら生理が始まったと認識し、ナプキンに取り替えるという感じ。今まではそれで失敗したことがなかったため、完全に油断していたのです。
生理の血をべったりつけたまま来客対応をしてしまったかと思うと顔から火が出そうなほど恥ずかしくなりました。というのも、当時は来客があった際、内線を使わず各部署の担当者に直接伝えに行っていたため、血をつけたまま各部署を練り歩いていたということになっていたからです。
さらにショックだったのは、私の席がある受付のすぐうしろには、男性社員だけのデスクの島があり、来客があるたび社員は受付のほうを見て「いらっしゃいませ」と言うことになっています。そのため部署の人は来客対応をしている私のうしろ姿が必然的に目に入ってしまうはず……。つまり、スカートについた経血のシミも見られていたと思うのです。
しかし、不思議なことに当時は誰からも生理のことについて触れられませんでした。
気づかいに感謝!男性社員の反応に…
幸いなことにスカートのスペアをロッカーに置いていて、汚れに気づいたあとはすぐに着替えることができました。しかし、肝心のナプキンを持っていません。
同じ部署には男性社員しかいないため当然、誰もナプキンを持っているはずがなく……。かと言って、入社したばかりの私には、他の部署に「ナプキンをください」と言えるほどの親しい女性社員もいませんでした。コンビニへ買いに行こうにも次の来客対応が迫っているため席を長く外すことができません。
どうしたものかと悩んだ末、同じ部署の男性社員Aさんへ助けを求めることにしました。Aさんは私のすぐうしろの席に座っている30代後半の既婚者で、いつもやさしく物腰の柔らかい人です。受付対応を代わってもらおうと、Aさんに「少しコンビニに行きたいのですが……」と切り出すと、しどろもどろになる私の様子を見て、「ここは僕に任せて大丈夫だよ! すぐ行っておいで!」と言ってくれました。
直接Aさんへ確認していないため真相はわかりませんが、Aさんの様子からして、恐らく私が生理で困っていることに気付いているようでした。Aさんのフォローに感謝しつつ、急いでナプキンを買いに行き、応急処置で敷いておいたトイレットペーパーをナプキンに交換することができました。
汚してしまった椅子は受付で掃除をすると目立ってしまうため、お昼休みまではハンカチを敷き、その上に座って仕事。そして部署のみんながランチで外に出かけたタイミングで、急いで付いた血をきれいにし、何とか事なきを得たのでした。
その日からは毎日夜用のナプキンとタンポンを持ち歩くようにしています。また、万が一漏れてしまってもいいように、会社の椅子には持参したクッションを敷き、制服に血がついてしまっても隠せるようにカーディガンも準備しました。
今までまったく気にしていなかった自分の生理周期もしっかり記録するようにし、生理が近づくと事前にナプキンをつけるようにしています。万全な対策のおかげか、あの日以降、生理で失敗をすることはなくなりました。当時はとても恥ずかしかったですが、生理とうまく付き合っていくためのきっかけとなる体験になりました。
著者:米久熊代/女性・主婦
イラスト:アゲちゃん
監修:助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、ベビーカレンダー、ムーンカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
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