私をじーっと見つめる男の子
息つく間もなく娘がぐずり出してしまいました。注文を終え、娘をあやしながらなんとか食事を進めていたのですが、案の定、娘が飽きてしまい、お箸は落とすし、お水はこぼすし……。私も夫も娘に気を取られ、お肉は焦げちゃうし……。
娘のお世話であたふたしていると、隣の席から視線を感じました。ふと隣を見ると、家族で食事中だった小学校高学年くらいの男の子が私たちをじーっと見ていたのです。目が合い、私が「うるさかったかな」と不安になった次の瞬間、その男の子が無言で私の頭上を指差しました。
振り向いて壁を見上げると、そこには「お母さん、慌てないで大丈夫だから」と書かれた張り紙があったのです。さらに張り紙には「子どもは散らかす名人。私たちも小さいころはそうでした。お客様が帰ったあと、私たちが責任を持って片付けますから、お母さん、お店に来たときくらいはゆっくり食事をしてください」と書かれていて、お店のやさしさにも隣の席の男の子のやさしさにも、思わず胸が熱くなりました。
お店を出るとき、できる限り片付けはしましたが、子どもがテーブルの上や足元を汚してしまったので、店員さんに申し訳ありませんと謝りました。すると、店員さんが「ぜひ、またいらっしゃってください」と、あたたかい言葉をかけてくださったのです。
子連れ外出では、周囲に迷惑をかけていないか不安で、申し訳なく思うことも多いですが、周囲のやさしさに改めて気づくことができた体験でした。私も困っている人を見かけたら、やさしく声をかけたり、見守ったりしようと強く思いました。
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子連れで外食をすると、どうしても「周りに迷惑をかけていないかな」と不安になってしまいますよね。子どもを温かく見守ってくれる人や、やさしいメッセージをくれる店主に出会えたのは、本当に救われる瞬間だったと思います。
焼肉屋さんのように熱い鉄板があるお店では、お子さんが火傷しないように手が届かない位置に座らせるなど、安全に気をつけながら、親自身も落ち着いて食事を楽しめるようにしたいですね。
著者:斎藤ゆうみ/40代・女性・求職中。1児の母。
イラスト:miyuka
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)