大号泣の私に看護師さんは
実は、その数時間前のことです。
妊娠中、体の負担を考えて「推し」のライブに行くのをずっと我慢していた私。「産後なら行ける!」と思って申し込んでいたのですが、結果はまさかの「落選」。その事実に大ショックを受け、私は病室で大号泣していたのです。
その場にいた夫は、必死に慰めたり励ましたりしてくれたのですが、産後の情緒不安定さもあってか、なかなか泣き止むことができません。
そんな大号泣のときに、看護師さんが検温のために入ってきたのです。 「ライブに外れて泣いているなんて知られたくない!」 私はタイミングの悪さが恥ずかしくなり、変にあわてて涙をぬぐい、必死に取り繕ってしまいました。
ところが、看護師さんは私が泣いていたことには特に触れることなく、用事を済ませると静かに部屋から出ていきました。
夫について質問されるように
その後からなんとなく看護師さんたちから、夫のことをいろいろ聞かれるように。「旦那さんは仕事忙しいんですか?」「家事は手伝ってるんですか?」などです。
なんでだろうと思うものの、「なぜそんな質問を?」とわざわざ聞くほどでもないかなと、私はそのままにしていました。そして退院する2日前。夫から「ライブのチケットを譲ってもらえそう」というメールが届いたのです。
そのメールを見た私は、今度は行けるうれしさで声をあげて大号泣しました。するとまた大号泣のタイミングで、看護師さんが部屋にやってきました。
「私たちは味方」いったいどういう意味!?
真剣な顔の看護師さんに「私たちは味方です。相談窓口もあります」と言われて、私はなんのことだかさっぱりわからず。ようやく何かおかしいなとあわてて、最初に号泣していたことの経緯を看護師さんに説明しました。
すると、看護師さんから「よかった。正直な話、DVを疑っていたんです」と衝撃発言が。どうやら、私が大号泣していたときに、看護師さんが入ってきてからの、シリアスな雰囲気に耐えきれずに夫が笑いをこらえて肩を震わせていたのが、私に激昂しているように見えていたようなのです。それほど、尋常じゃない雰囲気に見えたよう。
まさか、夫にDV疑惑があったとは思いもしませんでした。私が最初から変に隠さずに素直に話しておけばよかったかなとも反省。ただ、看護師さんたちが、出産後の心と体の変化をしっかり気にかけてくれていたんだなと思うと、感謝の気持ちでいっぱいで、心が温かくなりました。私の忘れられない出来事です。
著者:秋本かなこ/30代女性/2017年生まれと2021年生まれの兄弟のママ。元気な兄弟とパワフルな毎日を過ごしている。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)