古い友人との関係が壊れたきっかけは…
私には、高校の同級生で娘も同い年のAちゃんという友人がいます。住む場所は離れていますが、ときおりリモート飲み会をして近況報告や育児の愚痴などを言い合っていました。
娘が5歳のころのことです。Aちゃんとリモート飲み会をして、子どもの食事やしつけなど、育児の相談を聞いてもらい、満たされた気持ちで就寝した私。翌日の夜、お互いをフォローし合っていたSNSを何気なく見ていると、Aちゃんの投稿を見つけました。そこには、「今日は仕事関係の方と会ってすごく有意義な時間でした! それに比べて、昨日のリモート飲みは育児の愚痴ばかり聞かされて疲れちゃった」という文章が書かれていたのです。
“昨日のリモート飲み”が私との飲み会を指しているのは明白で、とても悲しい気持ちになりました。実はAちゃんは起業しており、SNSにも仕事関連の投稿をすることが多く、充実した毎日を過ごしているようなのです。たしかに、私の話は育児に関する相談をすることが多かったのかもしれませんし、愚痴と捉えられてもしかたなく、そのことについては申し訳なかったと反省しました。しかし、私が見る可能性のあるSNSでそのような投稿をするAちゃんの行動が信じられませんでした。その後、彼女とどんな話をすればいいのかわからなくなった私は、Aちゃんと連絡を取るのをやめてしまいます。
それから約1年後。「久しぶりにリモート飲みしようよ」とAちゃんからメッセージが届いたのです。1年という月日を経たことで、Aちゃんに対する気まずさも薄れていたため「OK! いつにする?」と気軽に応じました。
そしてリモート飲み会当日。以前のように、お互いの育児や日常の話をして笑い転げ、とても楽しい時間を過ごしていました。すると突然Aちゃんから、「〇〇ちゃん(私)の育児って、本当に今のままでいいと思ってる?」とガラッと話題を変えられたのです。「どういうこと? 今も昔も大変なのには変わりないけど楽しんではいるよ」と私が答えると、「でも保育園任せでしょ? もっと子どもに“自己肯定感”つける習い事とか、考えてないの? うちの娘は、ビジネススクール主催のキッズ講座に通わせてすごくイキイキし出したの」と言われました。
まるで私が育児に関して怠けている、無知であるかのように聞こえる内容ばかりで、悔しくなった私は「でも、娘も自分でできることが増えてるし、このままでいいの」と返すも、「いや、でも○○ちゃんの育て方だと、将来困るのは娘ちゃんだよ?」とまで言われたのです。
さらにAちゃんは「うちのビジネスの大先輩が、子育てセミナーもやっててさ! 親の意識改革で子どもが劇的に変わるんだって。今の○○ちゃんには絶対必要だと思うから、会ってみてほしいの!」と続け、ここでようやく私は、彼女が1年ぶりに連絡をしてきたのは、これを言うためだったのだと気づきました。
「Aちゃんのことはすごいと思ってるけど、私はそういうのには興味ないから」ときっぱりと断るも、Aちゃんは、「○○ちゃんって子どもの将来より今の自分の楽さを取るタイプだよね。子育ても本当に向上心がないよね。せっかくのいい話なのにしらけちゃった」と一方的に電話を切ってしまったのです。
その後、お互いに連絡を取ることがなくなり、私とAちゃんは完全に疎遠に。長い付き合いの友人を失ったこと、自分を軽く扱われたことが悲しく、しばらくは落ち込んでいました。
それから約半年が経ち、共通の友人にAちゃんとの出来事を話すと、地元の友人複数にも同様の電話をかけていることが判明。どうやらAはその子育てセミナーから、投資や有料セミナーへ勧誘していたそう。人の考えを無視して話を押しつけるため、Aちゃんと距離を置いている友人は多いようです。Aちゃんとはきっぱり関係を切ろうと決意した私は、それまでのモヤモヤした気持ちから解放されて、スッキリしたのでした。
ライフステージによって人の価値観は変化していくものだと思いますが、育児というセンシティブな領域に踏み込み、相手を否定しながら自分の価値観を押しつけると、どんなに古い友人でも関係は壊れてしまうと実感しました。相手の育児方法や考え方を尊重することが、いい関係を保つのに大切だと改めて感じた出来事です。
著者:山本 しょうこ/30代・会社員。小学1年生の女の子を育てるママ。娘が小学生になって帰宅時間が早くなったため、現在は在宅ワークに。おいしいものが大好きで、家族で日本一周のグルメツアーをするのが夢。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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